メールマガジンのほうで書いている記事の関係で、ぼくの好きな暗黒耽美系の愛読書をリストアップしてみました。小説あり、漫画ありですが、こうしてみると意外と少ないなあ。100作くらいは軽く上がるだろうと思っていたのだが、50作で何とかだった。
中身は雑多としかいいようがなく、読み終えていないものもあるし、ひとによっては「これのどこが耽美だ」と思うものも混ざっていると思う。何しろCLAMPの『ちょびっツ』が混ざっていたりする。でも、あれはぼくのなかでは「そういう趣味」の漫画なのだ。澁澤龍彦以来の人形愛の伝統がなければ、きっとあの作品も全く同じではなかったはずだ。
森薫の『シャーリー』が入っているのはメイド系の代表として。ちっとも暗黒でも耽美でもないけれど、でもぼくにとってはあれも「ソレ系」に入るんだよなあ。
永野護『ファイブスター物語』を入れているのは、もちろん、あの作品にファティマたちが出てくるからです。人形愛と死体嗜好をあわせて独特の美学でくるみ込んだようなところがある。「ああいうもの」が好きなのだねえ。
ユイスマンスの『さかしま』とか、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』とか、「ソレ系」の必読作品が抜けているのは単純にぼくが読んでいないからですどうもすいません。スタージョンとかブラッドベリはちょっと方向性が違う気もするが、一応入れておいた。好きだから。
こうやってみると、ぼくの好きな世界がはっきりとわかる気がする。光と闇、女と男、善と悪、法と混沌、美と醜悪、と両極端なものがくっくりとコントラストを描く世界が好きなのだ。貴族、少女、メイド、人形、洋館、吸血鬼、ロボット、義肢、屍体、廃墟、といったモティーフも好きだなあ。わかりやすすぎ。
気になるタイトルがあったらぜひ読んでみてください。ひょっとしたら、それが暗黒世界のとびらにならないとも限りません。
・ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』
・エドガー・アラン・ポオ『アッシャー家の崩壊』
・アンジェラ・カーター『血染めの部屋』
・タニス・リー『パラディスの秘録』
・ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』
・マイケル・ムアコック『エルリック・サーガ』
・クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』
・ジャック・ケッチャム『隣の家の少女』
・アン・ライス『ヴァンパイア・レスタト』
・シオドア・スタージョン「ビアンカの手」
・レイ・ブラッドベリ「集会」
・ジョルジュ・バタイユ『眼球譚』
・リチャード・コールダー『デッドガールズ』
・キム・ニューマン『ドラキュラ紀元』
・ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』
・エリザベス・ハンド『冬長の祭り』
・国枝史郎『神州纐纈城』
・小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
・夢野久作「瓶詰の地獄」
・中井英夫『虚無への供物』
・三島由紀夫「憂国」
・谷崎潤一郎「天鵞絨の夢」
・江戸川乱歩「赤い部屋」
・川端康成「片腕」
・村山槐多「悪魔の舌」
・澁澤龍彦『少女コレクション序説』
・栗本薫『トワイライト・サーガ』
・山尾悠子「破壊王」
・京極夏彦『魍魎の匣』
・倉橋由美子『聖少女』
・虚淵玄『白貌の伝道師』
・伊藤計劃『虐殺器官』
・大原まり子『吸血鬼エフェメラ』
・綾辻行人『Another』
・菊地秀行『ブルー・マン』
・瑞智士記『展翅少女人形館』
・唐辺葉介『死体泥棒』
・乙一『GOTH』
・津原泰水「天使解体」
・連城三紀彦「花緋文字」
・小野不由美『東京異聞』
・瀬名秀明『デカルトの密室』
・永野護『ファイブスター物語』
・CLAMP『ちょびっツ』
・森薫『シャーリー』
・高橋しん『最終兵器彼女』
・川原由美子『観用少女』
・萩尾望都『ポーの一族』
・町田ひらく『卒業式は裸で』
・士郎正宗『攻殻機動隊』