『はがない』には真実があるよ。

僕は友達が少ない (MF文庫J)

僕は友達が少ない (MF文庫J)

 いま話題のライトノベル僕は友達が少ない』を読んでみました。ていうか、既刊7巻を3日くらいで読み終えてしまったよ。驚くほどおもしろかったです。やっぱり売れている作品(ベストセラー・ライトノベル)は違うなあ、としみじみ思いますね。

 基本的には「隣人部」という外れ者たちの楽園のような部活で、主人公たちがひたすらばかなことを繰り広げる、というだけの話なんですが、どんなに仲良くなっても「いや、おれたちは友達じゃないから」「これはリア充になったときのための訓練」と言い張るあたりが話のキモ。

 もちろん、そこが物語の最大の突っ込みどころではあるんだけれど、これはあきらかに作者の計算ずくであるわけで、そこを突っ込むのは釈迦の手のひらの上というもの。

 その証拠に、最新第7巻で物語はついに動き出します。それまでの停滞した楽園がほころびを見せ、とめておいたはずの「時」が動き出す。そして、ひたすらばかなことに熱中していられた日々が終わりを告げる――。いやあ、ぼくはこういう話、大好きだな!

 最近読み終えた飯田一史『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』では、成功したライトノベルの特徴を以下の四つに求めています。

・楽しい。
・ネタになる。
・刺さる。
・差別化要因がある。

ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略

ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略

 これはようするに「いかにして読者の全能感を満たすか」という問題で、ぼくもだいたいライトノベルを読む時はこの四つのいずれかを求めて読んでいるわけだけれど、でもぼくは最高の小説にはもうひとつ必要なものがあると思うのです。

・真実が描かれている。

 そう、ぼくは小説に「真実」を求めているんだよね。そこに「真実」があると思うかどうか、が小説の評価を大きく左右する。「刺さる」、つまり単純に泣ける、とか、切ない、とかではなく、この世の摂理を描き出しているということ。

 で、『僕は友達が少ない』にもそれがある。この場合、この作品で描かれようとしている真実、摂理とは、「ひとは愛されるためには、愛を受け入れなければならない」ということだと思います。

 あまり書くとネタバレになってしまいますが、「隣人部」とは即ち、自分がひとに好かれることがありえると信じることができない臆病者たちの集まり。もう友達になっているのに、友達なんかじゃないと言いはる、寂しい者たちの慰めのための集団。

 でも、だれかがその暗黙の秩序を乱したら? 「あなたのことが好きです」「あなたが大切です」「あなたはひとりじゃない」、そう、逃げ出すことを許さない率直さで言い出したら? その時、ひとはどうそれを受け止めるべきなのか?

 「ひとは愛されるためには、愛を受け入れなければならない」。自分には愛されるほどの資格はないと、そう決めつけ、友達なんていないと、そう思い込めば、安全だし、安心かもしれない。しかし、それは自分を大切に思ってくれるひとの気持ちを裏切ること。

 時計の針が動き出す。もう、ぬくぬくと楽園にこもっていられる時間は終わろうとしている。次巻でどう物語が動くのか、非常に楽しみにしています。ま、九割がたは小学生男子的ギャグなんですけどね☆