無料メールマガジン創刊!


 再来月創刊予定の有料版への足がかりとして、無料メールマガジン『オトナオタク』を創刊しました。無料の上、メールアドレスを登録するだけで読めますので、ぜひ、皆様、ご登録ください。

 内容は過去「Something Orange」で書いてきた小説、漫画などのレビューを量的、質的に増強したものを考えております。そして開店休業状態の「Something Orange」と異なり、毎週確実に発行されます。

 なお、先述のように、再来月には『オトナオタク有料版』と題して月300円の有料メールマガジンを創刊する予定です。こちらは無料版の約2倍の分量を予定しており、有料版の創刊と並行して、無料版は刊行ペースを減らすつもりです。

 しかし、その後も無料版は維持し続けるつもりなので、登録して損なし!です。

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 以下にサンプルを用意しました。これはあくまでサンプルであり、じっさいのメールマガジンはこの文章の2倍弱の分量になり、取り扱う作品も増える予定です。

 これを読めばあなたもおとなのおたくになれる! ライトにもディープにも楽しめるレビュー情報満載の最速メールマガジン

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□□□ 『オトナオタク vol.0』
□□□ by海燕
□□□ 2012年1月XX日

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◇◆◇今週の挨拶。◇◆◇

 どもども、「Something Orange」の管理人、海燕です。時流に乗り、調子に乗って、メールマガジンなど始めてみました。本当は有料にしたいところなのですが、誰も読んでくれないと思うので、とりあえず無料で始めてみます。

 ぼくが活用させてもらっている「まぐまぐ」には約3万もの無料メルマガが登録されているとのことですが、ほかに類例のない内容を目指し、頑張ります! とりあえず1クール(12通)を全力で駆け抜けるつもりなので、どうか、お見捨てなきよう。

 さて、肝心の内容ですが、まあ、ぼくが運営している1000万(ひく20万くらい)ブログ「Something Orange」の最盛期の面白さ、を基準にしてクオリティを定めたいと思います。

 さらに! ブログではどうでもいい呟きや恨み言、嘆き節など多々あるわけですが、なんとこのメルマガではそういう雑多な情報は一切カット! すべて本気で書いた文章のみということにしたいと思います。

 いやあ、大丈夫なんでしょうか。ほんとに書けるんでしょうか。そもそも、書いたとして、誰か読んでくれるひとがいるんでしょうか。

 一応、ブログのほうは1000万(ひく20万くらい)を達成したわけですが、メルマガの読者はさて、何人になることやら……。楽しみなような、不安なような気持ちです。

 でも、いつものことながら新しいことを始めるこの瞬間がいちばん楽しいんですね。

 ぼくはさまざまなサービスに手を出しては使い捨てにしているのですが、このメルマガもそうならないとは限りません。しかし、少なくとも1クール12通までは全力の文章をお送りすることを誓います。神々も照覧あれ!

 とまあ、既にだいぶどうでもいい文章を書き綴ってしまったような気がしますが、これは第一回のことなので大目に見てください。以下はもうちょっと内容のある文章を続けたいと思います。

 具体的にいうと、いわゆるレビュー、ですね。海燕オススメのアニメ、漫画、映画、小説、ドラマ、ゲームなどなど、いわゆるフィクションと呼ばれる作品たちを独自の海燕節で語り尽くす!内容となるはずです。

 まあ、一般の人が読む価値があるかどうかはわかりませんが、少なくとも昔の「Something Orange」を好きだったという方は読む価値があるかと。

 すっかり腑抜けて往時の輝くを失ってしまったかにみえる「Something Orange」にないものがここにはある!かもしれません。

 そもそもぼくの文章のクオリティは、だいたい書く時のやる気で決まってくるので、今回は大丈夫なはず。いや、いつまで続くかは何ともいえませんが。

 そういうわけで、海燕@「Something Orange」がお贈くりするオトナなオタクライフの送り方、ぜひ、ご一読いただきたいと思います。

 もし(万が一?)好評だった場合は有料版を始めさせていただきたいと思うので、ぜひ、感想などお送りくださいませませ。いやがらせはいりませんが。

 では、行きましょう! 遥かに広がる物語の平野へ! Go to the another world!

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◇◆◇今週のオススメ小説――米澤穂信古典部シリーズ〉。◇◆◇

 さて――ここから文体も変えてしまうのだが、メールマガジン『オトナオタク』第一号の最初のレビューに、どの作品を持って来るべきであろうか。

 迷うところだが、ここはやはり話題性のある作品が良い。「いま」という時期にふさわしい作品を取り上げるべきだろう。

 そこで、今回は米澤穂信古典部シリーズ〉を選ぶことにした。米澤穂信の、まさに代表作と呼ぶにふさわしい作品群である。

 世間的に見れば、米澤の作品のなかで最も有名なのは映画化された『インシテミル』だろう。しかし、古くからの米澤ファンに評価が高いのは、かれがデビュー以来書き継いできたふたつのシリーズ――即ち、『春期限定いちごタルト事件』に始まる〈小市民シリーズ〉と、『氷菓』に始まる〈古典部シリーズ〉である。

 このふたつのシリーズのいずれを高く評価するかは人それぞれだろう。甲乙付けがたい、という表現がこの場合は適当に思われる。しかし、個人的な意見を述べるのならば、ぼくは〈古典部シリーズ〉に軍配を上げる。

 また、このシリーズは、いまや日本を代表するアニメスタジオとなった京都アニメーション、いわゆる「京アニ」により、『氷菓』としてアニメ化されることが決定している。

 これを記念する意味でも、いま、この作品を扱う価値はあるだろう。もちろん、語りつくされたかにみえる作品では、ある。

 だが当然、この作品を知らない読者も多いことだろうし、そういう読者に向けて一読を薦めることは無意味ではないはずだ。未読の方は、ぜひ、この愛すべき物語にふれてほしいと思う。

 さて、〈古典部シリーズ〉で主人公を務めるのは折木奉太郎という少年である。このシリーズはいわゆる本格ミステリであり、奉太郎は自然、「探偵」の役を務めることになる。

 かれは一流の名探偵とはいえないかもしれないが、ともかくも学園にはびこる様々な「謎」を、快刀乱麻、解き明かしてゆく。そして、その名推理の果てには、しばしば苦い結末が待ち受けている。まさに現代ミステリ、というテイストである。

 古来、青春ミステリの名作傑作は数多い。日本においては特に多い気がする。それらの作品のなかで、〈古典部シリーズ〉は、最高のものとはいえないかもしれない。だが、少なくとも傑出した作品群であることは間違いない。

 とはいえ、実はこのシリーズの最初の二作である『氷菓』、『愚者のエンドロール』を、ぼくはそれほど買わない。ともに、見え透いた話、という気がしてしまうのだ。

 ぼくが買っているのは、楽しい上にも楽しい『クドリャフカの順番』であり、そしてそれに続いた名ヒロイン千反田えるの魅力を高らかに謳い上げる『遠まわりする雛』である。

 シリーズはこれら四作に加えて、五作目の『ふたりの距離の概算』が発表されたところで止まっている。シリーズものを書く作家の常として、米澤も、同じシリーズを完結までひたすら書き続けるつもりはないようだ。

 〈古典部シリーズ〉の刊行ペースはそれほど早くない。じっさいのところ、数年に一度新刊が出るかどうか、というところである。

 それでもその数年に一度の新刊が珠玉の傑作であったなら問題はないのだが(『クドリャフカの順番』や『遠まわりする雛』はまさにそうだった)、「まあまあの出来」といいたいような作品だと、どうも損したような気分になってしまう。

 そして、『ふたりの距離の概算』は、ぼくにとって、そんな「まあまあの出来」の作品だった。

 もちろん、シリーズの一作として見るかぎり、なかなかの秀作、といえないこともない。とはいえ、やはり数年に一度の作品として味読するにはいかにも物足りない作品であったことは否定しがたい。

 そういうわけで、〈古典部シリーズ〉既刊五冊のなかで、ぼくが主に評価しているのは『クドリャフカ』と『遠まわりする雛』の二冊、ということになる。

 しかし、この二冊を味わうためだけにでも、このシリーズを読む価値は十分にある。それほどにこの二冊は傑作なのだ。この二作は、シリーズ中のまさに白眉というべき出来である。

 個人的に、それまでもうひとつインパクトに欠ける作家であるように思っていた米澤の印象を大きく塗りかえることになったのはこの二冊のおかげであった。

 この二冊を読んでいなければ、ぼくはいまごろ、米澤穂信の新刊を追うことをやめていたかもしれない。それくらい、ぼくにとっては重要な作品たちなのである。

 まずは『クドリャフカ』から語ることにしよう。印象的なタイトルであるが、内容もまた十分印象にのこる。

 これは、奉太郎たち四人の「文化祭の一日」を追った作品である。これまでの二作は、主に奉太郎の視点で語られていたわけだが、この小説は奉太郎、千反田える福部里志伊原摩耶花、の四人の視点を交互に行き来しながら進んでゆく。

 それぞれスペード、ハート、ダイヤ、クラブのマークを付けられたこの四人の視点から、文化祭というひとつのイベントが浮かび上がってくるわけである。

 ちょっとチュンソフトの『街』や『428』といった「ザッピングゲーム」を思い起こさせる構成だ。

 ひとつの出来事がべつの出来事に遠く影響を与え、その影響を受けた出来事がさらにべつの出来事を呼び起こし――ということが続いて、物語の全体像が次第に浮かび上がってくるというその構成は、「構成美の文学」である本格ミステリにふさわしいものであるだろう。

 もちろん、最後にはそれなりの謎解きがあるのだが、それはこの際、それほど重要ではないように思える。ぼくにとって、この小説の魅力は、ひとえに文化祭の日の楽しさを華麗に描き出したところにある。

 つまり、ぼくはこの小説を本格ミステリというよりは青春小説として楽しんだわけだ。

 米澤は今日、若手本格作家の注目株と目される作家であるが、必ずしも「ガチガチのパズラー作家」といった印象の書き手ではない。

 決して「ガチガチのパズラー」を書けないわけではないが、その本領はやはり、青春の切なさ、やるせなさをセンチメンタルに、しかも時に途方もなく苦く描き出す力量にあるだろう。

 その作家がその才能を「楽しい文化祭」を描き出すことに注いだ時、何が起こるか。即ち、それが『クドリャフカの順番』である。

 ぼくはべつだん、楽しい学園生活を過ごした方ではないが、この小説を読んでいると、何か学園生活というものはとても楽しいものであったかのように思えてくる。そのくらい、『クドリャフカ』の文化祭描写は傑出している。

 読んでいる最中、ぼくは時に奉太郎になり、時に千反田になって、学園狭しと飛びまわった。ぜひ、もういちど読み返してみたいと思っている作品だ。「文化祭もの」というジャンルがあるとすれば、その最高峰に位置する一作といえるだろう。

 そう、この小説は「文化祭小説」の傑作である。読者は、読み終える頃、奉太郎を、千反田を、ずいぶん好きになっている自分に気づくことだろう。

 そして、続く『遠まわりする雛』。『クドリャフカ』が堂々たる長編であったのに対し、この作品はいわゆる連作短編と呼ばれる形式になっており、「やるべきことなら手短に」、「大罪を犯す」、「正体見たり」、「心あたりのあるものは」、「あきましておめでとう」、「手作りチョコレート事件」、「遠まわりする雛」の七つの短編から構成されている。

 物語は奉太郎たちの入学当時から始まり、翌年の春までをたどる。このうち、本格ミステリ的観点からはともかく、一般読書的観点から見て傑作と思えるのは、表題作「遠まわりする雛」である。

 というか、ここにいたる六つの短編は、この一編を印象深く見せるために存在する、といってもいいかもしれぬ。あなたは読み終えて、作家の仕込んだ構成の妙に舌を巻くことになるに違いない。

 「遠まわりする雛」は、千反田えるという少女の物語である。奉太郎は、ここでは後ろに下がって、千反田を観察する立場になる。そして、この小説における千反田は、ぼくがいままで読んできた何千の小説のなかでもひときわ魅力的なヒロインに成長している。

 ここに至って彼女は、単なる「萌えキャラ」の次元を完全に超えて、ひとりの人間として読者に迫ってくるのだ。

 この小説は、千反田が背負ったもの――都会の繁栄から置きざりにされ次第に衰退してゆく地方の運命に焦点をあてる。

 その地方の名家の生まれであるえるは、そこを捨てられない。それどころか、ただひとり、すべてを背負い込もうとする。亡国の王女――彼女を見ていると、そんな言葉が浮かぶ。

 いままさに滅びゆこうとするひとつの地方を、その華奢な肩に背負って、彼女は、薄くほほ笑むのだ。読者は、奉太郎とともに、その顔に魅入られることになるであろう。

 そしてここで、作者はありえるかもしれないひとつの「未来」を示す。それは、たしかにそうなってもおかしくないと思える「未来」である。

 物語が本当にその方向に進んでいくかどうか、それはわからないが、読者はひとつの期待をもってひと組の少年少女を見つめることになるであろう。

 シリーズが今後、かれらにいかなる運命を与えるのか、非常に楽しみだ。

 それにしても、いまの時代の新作として、この作品を選んだ京アニの慧眼には驚かされる。この〈古典部シリーズ〉はいわゆるキャラ萌え的な意味で派手な作品ではなく、むしろ通好みの、「わかる人にはわかる」といいたいような一見地味な小説である。

 しかし、初めは現代のライトノベルとして発表されたことも事実であり、全く現代の萌えカルチャーと隔絶しているわけではない。この作品をアニメ化することで、京アニは、既存の領域から一歩先へ踏み出すことになるであろう。

 奉太郎の一見してやる気のない主人公像は、〈涼宮ハルヒ〉シリーズあたりと強く共振している。ここらへん、下手をすると〈ハルヒ〉のパクリ呼ばわりされかねないところであるが、じっさいには、『氷菓』の発表は『涼宮ハルヒの憂鬱』より早い。

 いずれがいずれを真似た真似ないという話ではなく、ひとつの同時代性の発露と見るべきであろう。

 さて、そういうわけで、米澤穂信古典部シリーズ〉をオススメする次第である。読破せよ。読書の愉楽がここにある。

◇◆◇あとがき◇◆◇

 さて――サンプルとなるこの第0号では、とりあえず小説のレビューを掲載してみたわけですが、いかがだったでしょうか。お気に召すと良いのですが。

 次号以降は量的にこの倍から三倍程度のものになる予定なのですが、どうですかね。

 んー、取り上げる作品が少なすぎる気もするんだけれど、でも、一週間に一号ずつ出すわけだからなあ。このくらいで良いという気もする。

 あと、作品をひとつ取り上げてレビューするという形式では、複数作品をからませながら語る形式より面白くならないという気もしますね。ここらへんも何とかしたいところ。

 まあ、この第0号はテストということでご理解くださいませませ。次号以降はもっと充実した内容にしたいところです。では、また、次号でお逢いしませう。

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 ――そうして、あなたは、オトナオタクへの階段をのぼりはじめる。

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