ついに完結した『未来日記』をふりかえる。

未来日記 (1) (角川コミックス・エース (KCA129-5))

未来日記 (1) (角川コミックス・エース (KCA129-5))

未来日記 (12) (角川コミックス・エース 129-19)

未来日記 (12) (角川コミックス・エース 129-19)

 えすのサカエ未来日記』が単行本で完結しました。最終巻表紙はいままでの登場人物が並ぶお約束の絵柄。未読の方のために本編のネタバレは避けておきますが、まあ、まあ、納得の結末かな?

 ちょっと突拍子もなさすぎていくらなんでもご都合主義という気もしなくもないのですが、一応、いままでの伏線は回収しているし、こんなものかなあ、という気もする。ちょっと、大感動のクライマックスというには無理があるとは思うものの、やはり長い物語の結末にはそれなりの感動があることはたしかです。

 何だか微妙な表現になってしまいましたが、『未来日記』全12巻、良い漫画であることは事実なので、読んでいない方はぜひ読んでみてください。長編を一気読みする快感が味わえると思います。

 この巻だけでなく全編を未読の方のために説明しておくと、『未来日記』は何というか、変な漫画です。そうとしかいいようがない。それぞれ特殊な能力を持つ「日記」を与えられた12人のプレイヤーたちが生死を賭けてたたかう物語、と書くと、『DEATH NOTE』と『バトル・ロワイアル』をかけ合わせたようなデス・ゲーム漫画が思い浮かぶところでしょう。

 じっさいそれで間違えてはいないのですが、それだけではこの作品を語りつくしているとはとてもいえない。徹頭徹尾シリアスだった『DEATH NOTE』に対して、『未来日記』には何かねじれたユーモアとでもいうべきものがあり、奇妙な「おかしみ」のなかで物語が進行してゆくのです。

 まあ、本筋は一応シリアスといえなくもないんだけれど、そこに「奇妙な味」を付け加えているのが、主人公を熱烈に愛するヤンデレ美少女我妻由乃の存在。ヤンデレといえば彼女、というくらい典型的なヤンデレキャラクターなのですが、殺人もためらわないどころか、進んでひとを殺しまわるこのヒロインの存在によって、物語はどんどんねじれてゆきます。

 しまいには物語世界そのものが崩壊してゆくというSF的展開が起こり、ただでさえ混乱している世界はなお狂ってゆくことになります。そう、この作品を特徴付けているものは、その奇妙なリアリティのなさでしょう。

 『DEATH NOTE』の場合、小畑健による繊細な絵によって荒唐無稽な物語に一定のリアリティが担保されていたと思うのですが、『未来日記』の場合、全く現実感がありません。そこでどんなひどいことが起こっても、ひとが死んでも虐殺されても、全く現実のこととは思えない。

 そのせいでちょっと首をかしげたくなるような、なんとも奇妙な読後感が生まれます。まあ、ある意味ではこれぞ日本の漫画、といえなくもないのかもしれませんが、しかし変な漫画ですよねえ。真面目に読めばいいのか、それともギャグとして笑えばいいのかわからないというか。作者はどういうつもりで書いているのだろう。ちょっと訊いてみたい気がします。

 まあ、くりかえしますが、おもしろい作品には違いないので、一読の価値はあるかと。完結記念にまとめて読んでみるのも悪くないでしょう。変な漫画だけどね。