あだち充ヒロインの秘密。


 あだち充の新作が『サンデー』で開始するそうです。題して『オーバーフェンス 浅丘高校野球部日誌』。得意の野球もの。もっとも今回は不定期連載で、しかも主人公は選手ではなく女子マネなのだとか。

http://natalie.mu/comic/news/48157

 昨日ラジオで話したのだけれど、このヒロインのデザイン、可愛いですねえ。最近の萌えキャラなどと違って、特に特筆するべき何かがあるわけではないのだけれど、とにかく可愛い。正統派美少女ってかんじ。

 『タッチ』における伝説のヒロイン浅倉南を初めとして、あだち充作品の魅力の一端はヒロインの描写にあります。かれこれキャリア30年以上の作家であるにもかかわらず、あだち充ヒロインの魅力はいまにいたるまで変わっていない。

 いまの視点で見ても十分に、いやそれ以上に通用するこの可愛さは、やはりあだち充という不世出の天才的作家の才能を物語って余りあるものでしょう。なんかもう、ひと目見て可愛いと思うもんな。

 もちろん、30年前のヒロイン像がいまにそのまま通用するはずもないので、絵柄がさりげなくアップデートされているのだと思います。変わっていないようで、その実、変わっている。これはあだち作品全般にいえることで、何も変わっていないように見えつつ、少しずつ、着実に進歩しているのですね。

 さすが巨匠というべきか。同じ『サンデー』の巨匠である高橋留美子の漫画はいかにも「艶」を失ってしまったようにみえるんだけれど、あだち充の線はいまなお艶っぽい。いったいどうしたらこんなことが可能なのだろう、と思ってしまいます。いや、ほんと、この子、可愛いよね(そればっか)。

 で、まあ、あだち充作品のヒロインはショートカット系とロングストレート系に分かれると思うのですが、そのうちショート系のヒロインたちは次第に主人公と近づいていき、遂には『アイドルA』のように主人公と交換可能なまでになります。

ショート・プログラム 新装版 3 (少年サンデーコミックス)

ショート・プログラム 新装版 3 (少年サンデーコミックス)

 でも、この新キャラクターは非常に「女の子」しているかんじがして、良いですね。最近の『サンデー』では『ハヤテ』とか『國崎出雲の事情』とか、「男の娘」漫画が連載されていて、見た目の「性差」が無効化されている印象がありますが、ぼくはやっぱり性差のない世界には抵抗があるんだよなあ。

 これはべつに男の娘を否定しているわけでも、「男は男らしく、女は女らしく」といっているわけでもなく、デザインの多様性が維持されていてほしい、という願いなのです。

 べつだん、男のような女の子がいてもかまわないし、女のような男の子がいてもかまわない。でも、男も女もみんな同じようなデザインになってしまっては、いかにも世界の広がりに欠けると思うのです。

 だからまあ、この『オーバーフェンス』の新ヒロインには清新な印象を受けたのですね。やっぱり正統派美少女っていいものだな、みたいな。来週号から始まるという連載が楽しみです。最近、『サンデー』、ちょっと盛り返してきているよね。わりとおもしろい。