圧巻の電脳描写、『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society 3D』の迫力。

攻殻機動隊S.A.C.SOLID STATE SOCIETY

攻殻機動隊S.A.C.SOLID STATE SOCIETY

 というわけで! 『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society 3D』(以下『攻殻3D』)を観てきました。元々テレビシリーズ『攻殻機動隊』の続編として企画され製作された作品であるわけですが、このたびめでたく劇場版アニメーション、それも3D作品としてよみがえりました。

 ぼくは3D映画を観るのは初めてで、正直、どの程度のものなのだろうと思っていたんだけれど、いや、これは素晴らしいね! キャラクターたちも一応浮き出て見えるんだけれど、なんといっても圧巻は電脳通信及び電脳空間の描写。本当に目の前で電脳通信が行われているように感じる!

 空中に映像が浮かんで見える効果を最大限に利用した描写だったと思います。未来の情報通信はこういうふうになるんだろうな、なるといいな、と思わせるインパクト抜群の描写でした。ひさびさに映像でセンス・オブ・ワンダーを感じたよ。

 物語は草薙素子が去ってから2年後、トグサを新たにリーダーに迎えた公安九課の捜査を追っていきます。ある独裁者の関係得者を次々に自殺に追い込んでゆく謎の存在「傀儡廻(くぐつまわし)」を追いかけるトグサやバトーの前にちらつく素子の影。

 はたして超ウィザード級ハッカー傀儡廻とは素子のことなのか? 肝心の素子は「Solid Stateには近づくな」という謎の言葉をのこして消えてしまうのですが――。

 ぼくはこの作品、既に複数回見ているので特別新しい発見はないのですが、脚本の練りこみ具合はやはり凄まじいものがあると思いました。いくつもの謎が巧みなミスディレクションを孕みながらひとつの解決へとなだれ込んでいくそのカタルシス

 監督の神山健治自身が脚本も担当しているのだけれど、なんでこのひと、こんなにひとりでなんでもできるんでしょうか。『東のエデン』のときも監督と脚本をひとりでこなしていたものなあ。そのうち過労で倒れるんじゃないかしら。おからだに気をつけていただきたいものです。ほんと。

 さて、傀儡廻を追うバトーたちの前にはやがて2030年代の日本が抱える少子高齢化問題が立ち上がってくるのですが、これはまさにいまこそ現代日本のリアルな問題として捉えられるべきことでしょう。この問題に目をつけた神山監督の慧眼はさすが。

 はたして『攻殻3D』のさらなる続編が製作されることがあるのか否か。新作を観たい気もするし、微妙なところですが、『攻殻機動隊 S.A.C』シリーズの正当な完結編は、これは観てみたい。テレビシリーズでもいいし、今度は初めから映画企画でもいいので、ぜひ作ってほしいな、と思うのでした。

 ところで、『攻殻3D』『Xi AVANT』が公開されていたのですが、 どうやらこれは神山監督の当面の新作の予告編であるようです。「Xi Project」と呼ばれる大規模な企画の一翼をになっている模様。

 『東のエデン』と『攻殻機動隊』(というかジュイスタチコマ)を繋ぐ話であるようにも見え、期待は高まります。ただ、劇場で公開された内容を見るだけでは何もわからないので、これがどう進展していくのか、いまのところは未知数。とてもわくわくする仕上がりなので、ひたすら楽しみです。