百合が好きです。ユリ目ユリ科ユリ属の多年草――じゃなくて、女性同士の恋愛的関係を描くフィクションとしての百合ね。
昔はその手の作品も少なかったので、せいぜい『人類ネコ科』とか読んでドキドキしているくらいだったのですが(あれは良い百合だがいかんせん早すぎた)、最近は作品数も増えてきたのでようやく気づきました。ぼくは百合が好きだと。
『青い花』とか、それはもう素晴らしいですね。★★★★★付けたけれど、今年読んだ漫画のなかでも指折りの作品です。『まどマギ』も、ぼくから見るともう百合にしか見えない。ああ、素晴らしき哉、カップリング萌え。
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ただ、じゃあ、百合専門誌に載っている作品が好きかというと、そうでもないんだよね。基本的に『百合姫』とか『つぼみ』とか読んでいても、あまりおもしろいとは思わない。百合としての出来がどうこうという話はぼくにはできないけれど、単純に漫画としてさしておもしろいとは思わないのです。
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そういう意味では、ぼくにとって、百合作品が百合であるということは、特に何も意味していないんだよなあ。そりゃまあ、百合は好きだけれど、「百合だから」という理由で無条件に読むというほど好きではない。
あたりまえのようだが、ぼくが読みたいのは結局、「おもしろい漫画」であって、ただ百合であれば良いというものではないのだ。単純にこういう需要があるからこういう作品を描きました、どうです萌えるでしょ、という作品は正直、もうおなかいっぱい。
いや萌えるけどさ。可愛いけどさ。だからどうしたの、と思うわけ。質の高い百合を読みたい。ただ百合としてそれらしいものを書いていれば良いという次元じゃなく、物語においても、作画においても、傑出したものを読みたい。単にこういう女の子とこういう女の子をくっつけてみました、といった雰囲気漫画ではいかにも限界があるように思う。
いま氾濫する雰囲気百合漫画に欠けているものは、ドラマツルギーである。確固たる作劇の方法論がそこにはない。それでもそれなりに受けてしまうのだろうが、しかし、ただちょっと萌えるだけ、というレベルを超えられないのじゃないかしらん。
ようするに同人誌的なんだよなあ。同人誌だったらぼくも特に文句はないのだけれど、プロフェッショナルな作品としてはちょっと。ただここはむずかしいところで、いや、百合の良さはそんな波乱万丈の物語などにはないのだ、という立場もありえるかもしれないけれど、ぼくとしては「物語」が読みたいですねえ。
ここらへん、いわゆる腐女子というかBL読みの人たちはどうなんだろうなあ。BLのほうでは雰囲気BLが氾濫したりしていないのかしらん。
まあ、ボーイズ・ラブは百合よりはるかに規模が大きく、歴史が長いジャンルだから、たぶん質的に高いものを見つけるのは百合より容易だろうとは思う。そういう意味では、現代のBL読みは恵まれているのだろうな。羨ましい。
まあ、ぼくもわりと立派な百合オタではあると思うんだけれど、「百合萌えさえあればあとはどうでもいいや」という想いは全くないですね。そういう意味では、「萌えだけじゃちょっと」というのは、べつだん、一般作品に限らず百合でもそうなのだな、と思います。
ぼくにとっては、百合であるだけでは意味がないのだ。良い百合でなければ。