『イ・サン』。

イ・サン DVD-BOX I

イ・サン DVD-BOX I

 あいかわらず『イ・サン』を観ています。77話もある上、週2話まとめて放映されるので、実に見ごたえがある。

 77話もあればだれるのではないかと想像される方もいらっしゃるでしょうが、これがもう、実に緊迫した展開の連続で、飽きさせない。このままのテンションで完結したなら★★★★★認定間違いなしの傑作です。

 監督は全アジアで数億人が見たという『宮廷女官チャングムの誓い』のイ・ビョンフン。しかし、個人的には『チャングム』より面白いと思う。『チャングム』をちゃんと見たわけではないけれど、もうひと目見てわかるくらい映像のクオリティが違う。

 ひょっとしたら『チャングム』のヒットでお金を使えるようになったのかな、などと思うのですが、どうなんだろう。

 主人公は朝鮮王朝後期の王、のちに「正祖」と呼ばれることになる青年イ・サン。かれと、終生かれを支えることになる親友パク・テス、及びソン・ソンヨンを中心に物語が紡がれていきます。

 その魅力はひと言では語りつくせませんが、何より素晴らしいのは役者たちの演技でしょうか。とにかく脇役にいたるまで皆、演技が巧い。ぼくはふだんドラマを見て演技の巧拙を気にしたりする方ではありませんが、しかしこの作品では役者陣の名演に魅せられました。

 凄いことに、台詞はすべて韓国語であるにもかかわらず、目を見ているだけで何を考えているのかわかるんですね。主要人物にはもちろん美男美女がそろっているんだけれど、その容色以上に、出色の演技力に圧倒されます。

 まあ、日本の『龍馬伝』も面白いんだけれど、ぼくはあのドラマを見ているとオーバーアクションが気になって仕方ない。その点、この『イ・サン』では抑えた演技が中心で、ショッキングな事件が起こっても誰も取り乱したりしません。ただ、その目や表情が実に雄弁に内心を語るのです。

 特にイ・サンに敵対する勢力の黒幕である王妃を演じる女優さんのうまいこと! 右目と左目で異なる表情を見せるという離れ業を見せ、それが実に複雑で絶妙な印象を与えます。

 これが韓国のドラマの平均レベルなら日本は負けているな、と思って『風の絵師』を観てみたところ、こちらはそれほどでもなかったので安心しました。やはり『イ・サン』では芸達者をそろえたのでしょうね。監督の演出や演技指導の力もあるのでしょう。

 いまのところ物語はまだ半分、続きを楽しみにしたいと思います。77話もありますが、時代ものが好きなひとは、損はしないので観てみてください。韓国ドラマのレベルの高さに驚くことでしょう。