「何の欠点もない」作品でようやく0点という話。


 『とある魔術の禁書目録』が1000万部を突破したそうです。

 しかもまだまだ人気は衰えていないわけで、このまま行くと『ロードス』も『フォーチュン』も『スレイヤーズ』も『オーフェン』も超えてライトノベル史上でも最大のベストセラーになるのではないかと思います。このご時世にこのセールスはもうただただ凄いとしか。

 まあ、ペトロニウスさんも書いている通り、文章はとにかく読みづらいんだけれど、でもその欠点を補う巨大な長所があることになるわけで、これはもうただひたすら賛嘆するばかりですね。

 結局、文章なんて下手だっていいんですよ。作家はどこかにひとつ魅力があればいい。まあ、鎌池さんはストーリーテリングに才能が偏っているタイプなんでしょう。天才型ですね。平井和正あたりにちょっと似ていると思う。

 ぼくも時々勘違いしがちなことなんだけれど、「欠点がないこと」はそれだけでは100点じゃない、0点なんですよね。もし何か欠点があればそれがマイナスになるだけの話。プラスの点数を取ろうと思ったら、どうしても、多少のマイナスを覚悟してでも、長所を作る必要がある。

 何かしら抜きん出た長所があって始めて作品は商品になりえる。だから作品の欠点を数えてもしょうがない。アートならともかく、エンターテインメントは減点法では測れないのです。

 一般に作品を評価するときいちばん気をつけないといけないポイントがここで、何かひとつふたつ欠点を見つけただけで、「だからダメだ」といってしまいがちなんですよね。でも、問題は「欠点があること」じゃなく「その欠点が作品のなかでどのような意味を持つか」なんだけれど。

 まあ、『禁書目録』すごいよね、って話でした。1000万部はやっぱり生半可じゃないです。