小林有吾『水の森』がオススメ!


 最近――でもなくここしばらく、『月間少年マガジン』がおもしろい。

 曽田正人capeta』が絶好調だし、岩永亮太郎Pumpkin Scissors』、加藤元浩C.M.B.』、前川たけし鉄拳チンミ Legends』といった連載陣は鉄板である。『しゃにむにGO』を完結させて少年誌へ移ってきた羅川真里茂の『ましろのおと』ももちろん見逃せない。

 しかし、今回ぼくがオススメするのは、つい最近連載が始まった小林有吾『水の森』である。まだ単行本も出ていないので『月マガ』の読者以外にはしられていないと思うが、これがいけている。

 それはまあ、天才とか傑作とかいう言葉が似合うような派手な作品ではないけれど、じんわりと心に染み入るような、優しい作品なのだ。

 主人公は中世から現代日本へと転生したジャンヌ・ダルク。彼女はさまざまな人々と関わり合い、その運命を少しだけ変えていく。と書くとジャンヌ本人の物語のようだが、じっさいにはジャンヌは狂言回しに近く、本当の意味での主人公を務めるのは彼女のまわりにいる人たちである。

 その意味での主人公は毎回変わり、その都度、ときに切なくときに愛しい物語が綴られていく。特別すごい展開があるわけではなく、地味な作品なのだが、毎回何かしらのサプライズがあって、読ませる。まだ物語がどこへ行き着くのかさっぱり見えないことも好印象。意外な展開を期待したい。

 来月、単行本第一巻が発売されるので、良ければ読んでみてほしい。たぶん損はしないと思う。純朴であたたかな人間ドラマがそこにある。