女装少年と男の娘の落差。


 読了。

 近頃、巷では(ごく狭い巷だが)「男の娘」が流行しているのだとか。みんな大好きWikipediaによると、

男の娘(おとこのこ)とはフィクション作品においては女装した少年(美少年)を指す造語である。また、外見上は美少女にしか見えない少年に対する萌え属性を指す言葉としても使われる。

 ということで、ま、ようするに女の子と区別が付かないような萌え美少年のことを指す言葉であるらしい。元々はニッチな萌え要素だったんだろうけれど、いまじゃ専門誌は出るわ、テレビで特集されるわ、の人気ぶり。これを読んでいるひとのなかにも好きなひとはいるかも。

わぁい! vol.1

わぁい! vol.1

 で、その男の娘人気を受けてか現在『サンデー』で連載されているのがこの『國崎出雲の事情』。梨園の家に生まれ育った少年が歌舞伎の女形として活躍するというコメディです。

國崎出雲の事情 1 (少年サンデーコミックス)

國崎出雲の事情 1 (少年サンデーコミックス)

 Amazonを見ると評価が高いんだけれど、ぼくは正直、いまひとつ。子役のときから8年間もブランクがある少年が4日間稽古しただけで舞台に出て喝采を浴びるとか、いくら漫画とはいえ、さすがに歌舞伎、というか演劇をなめすぎじゃね? 天才とかそういう問題じゃないと思うんだけれど。

 ま、そこら辺はつっこむ方が野暮なのかもしれないけれど、どうもぼくはこの「男の娘」という概念自体が好きになれない。「女装少年」とかの方がピンと来る。

 どこが違うんだといわれるかもしれないけれど、違うと思うんですよね。「女装少年」と見る限り、性別はあくまで男性であるわけだ。でも、「男の娘」ってもう、対象を男性と見ていないと思うんですよ。

 津田雅美の『ちょっと江戸まで』は美少女にしか見えない少年と、美少年にしか見えない少女の話ですが、これは好きなんですよね。だから、女装、男装といった異性装そのものには抵抗はない。

ちょっと江戸まで 第1巻 (花とゆめCOMICS)

ちょっと江戸まで 第1巻 (花とゆめCOMICS)

 ただ、性別そのものが「中性」とか「無性」の方向に進んでしまったキャラクターはあまり好きじゃない。あくまで男の子には男の子であってほしいし、女の子には女の子であってほしいんですね。つまり、性的アイデンティティを失わないキャラクターであってほしい。

 こう書くといかにも保守的に思われるだろうし、じっさいそうなのかもしれないけれど、「男は男らしく」とか、「女は女らしく」といっているわけではない。ただ、「男」とか「女」とかいう概念そのものが無効化するような方向へはあまり進んでほしくないんですよね。

 それは結局、性の豊かな多様性が、ひたすらに可愛いだけの無性人間のへと収斂するような方向性であるように思えるのです。まあ、もちろんそういうものが好きだ、という趣味はそれはそれで尊重されるべきだけれど、ぼくは好きじゃないということ。

 んー、書いていて自分でも問題がある考え方かな、と思わなくもないのだが、こればかりは趣味の問題だから仕方ない。

 ぼくは結局、観念としての萌えキャラより、肉体を持った生身の人間が好きなんだな。性と肉体を持った人物の性別が逆転することには魅力を感じても、あらかじめ中性のキャラクターには魅力を感じない。

 そういう意味では古い人種なのかもしれない。ま、この場合、古くても一向に困らないのだけれどね……。