高河ゆんの未完伝説。


 Togetterを見ていたら、「【募集】明らかに途中で終わってむちゃくちゃ残念or続刊出て欲しい漫画」というまとめを見つけました。

 題名どおりの内容で、期待を集めながらも未完に終わった(ように見える)作品がそれはまあ山のように並んでいます。あきらかに打ち切りのものもあれば、事情不明のまま終わったものもあり、「ああ、こんな漫画あったなあ」と思い出しながら見ていくと、諸行無常の気分に浸れます。

 ところで、川原泉の『バビロンまで何マイル?』が挙がっているけれど、これは一応完結していると見るべきなんじゃないかなあ。まあ、文庫を読まないと未完なんだけれど。

 で、ぼくの場合、未完放り出しの帝王といえばやっぱり田中芳樹が思い浮かぶわけですが、あの人は小説家なので、漫画家でいえばやはり高河ゆんですかね。

 単行本が出た長編に限ってもえっと、『恋愛』、『源氏』、『夜嬢帝国』、『サフラン・ゼロ・ビート』、『クロニクル』、『B型同盟』、『ありす In wonderland』を投げ出しているはずです。

 まあ、この人は作品数が多いので、完結した作品も、『超獣伝説ゲシュタルト』、『妖精事件』、『アーシアン』、『ローラカイザー』、『子供たちは夜の住人』、『LA VIE EN ROSE』、『飢餓一族』、『You,re My Only Shinin’Star.』、『恋愛 CROWN』、『はぴぷり』と数多いわけですが。

 とにもかくにも代表作『アーシアン』を完結させていることは評価に値するでしょう。しかし、もうひとつの代表作『源氏』が未完に終わっているのはいただけない。

 『源氏』を描いていた頃の高河ゆんはほんと、すごかったんですよね。抜群のセンス、独特の台詞まわし、アマチュアリズム、天才性がからみ合って一つの無二の世界を作り上げていた。

 可能ならいまからでも『源氏』の続きを描いてもらいたいものですが、無理だろうなあ。もうあの頃の高河ゆんは死んだのだから。『LOVELESS』も最近刊行が滞っているという話ですが、きちんと完結するといいですね。

 ああ、しかし、ほんとに『源氏』の最終回は見たいなあ。『源氏』が完結しているパラレルワールドがあったら移り住みたい。

 未完で終わった作品――それは、読者にある種の未練を感じさせ、現実への帰還を妨げます。そう考えると、作品が無事完結することがいかに大切かわかりますね。

 そういう意味では、現代はあまりにも未完に終わる作品が多い。作家が過剰に壮大な構想を立てることと、作品がひきのばされがちなことがその原因かと思いますが、一定のペースで発売され一定の長さで完結した作品が一定数存在しない時代は問題があると思います。

 『おおきく振りかぶって』とか、このまま行くと完結まであと二、三十年はかかりそうなんだけれど、大丈夫だろうか。大丈夫じゃないような気がしてなりません。