メールへのお返事2。

 「オタク」論が高まっているようで、面白く拝見しています。

 オタクか否かの考えには大いにうならされるものではあるのですが、私としては「オタク」という言葉に大きな使いづらを感じます。

 オタクというのが定義があいまいなくせに妙に強烈な印象があると思うのですよ。

 例えば友人Aに「○○ちゃん(私のことね)って、もしかしてオタクの人?」と質問されたとして、それに「ハイ」と答えたとする。そしたら友人Aがウキウキしだして別の友人Bに言うわけですよ。
「へぇ〜!そうなんだ!ねぇ○○ちゃんってオタクなんだってよ」
と、こうきたもんだ。終いには「○○ちゃんてオタクなんだってね。じゃあ△△とか見てる?」とか言い出すやつまで登場する。

いやいやいや。
私はネットもするし漫画も読むし、アニメも見るけど。そりゃぁ「オタクですか?」と問われれば「ハイ」になるけど、でも他にも好きなことはたくさんあるんですよと叫びたいです。

別段オタクそれ自体が云々、社会的地位のどうたらこうたらは大したことじゃないのです。
私が好きなもの、指向しているもの、関心があるものを差し置いて「オタク」の一言に塗りつぶされるのが気に入らない。

ちなみにノーボーダーのアンケートに答えさせていただきましたが、候補がどれもピンとこなかったです。

ノーボーダー:そもそもボーダーという境を前提にしているのが、返ってその存在を意識させられました
カベなし:同上。壁の存在自体が思い込みなのでは?
クロッサー:クロス(交わる)の変形ですか?意味が良くわからなかったです
シームレス:いちばん良いのですが、レスっていうのが気になります。欠けるの意ですかね?
越境者:アルプス越えの印象があります。そこまで偉大なものとは違うような・・
ニコ房:閉じこもるのとは少し違うような・・・
私としては「オールラウンダー」「マルチハンドラー」「雑食い(ざつぐい)」あたりの言葉がしっくりきます。

それでは長文失礼しました。

 示唆に富んだメールありがとうございます。

 たしかに「ボーダー」「カベ」といった表現が、本来幻想に過ぎない境界をより強く意識させるというパラドックスは存在すると思います。ここら辺はさらに配慮が必要なところでしょう。

 また、「オタク」という言葉が使いづらいということ、よく理解できます。結局、「オタク」を名乗ったりあるいは「オタク」と呼ばれた時点で、ぼくたちは本来多様である「個」を無視され、ある一色のイメージに塗り込めることになる。そのことは端的に不快です。

 これはむろん、「オタク」に限ったことではなく、あらゆる命名による差別がもつ性質でしょう。じっさいの自分の人生があるにもかかわらず、あいての考えた「物語」を押し付けられる不快、といえばいいか。このことはこれからさらに考えていきたいと思います。