- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2004/03/17
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この頃、『クリムト』、『インビクタス』、そしてこの作品と、伝記映画ばかり見ているような気がする。何となくそういう気分らしい。
といっても、この作品を伝記映画と呼ぶことはあまり正しくないだろう。なぜなら、事実ではなく、カラスの晩年に「あったかもしれない」架空のストーリーを描いた作品だからである。
物語は歌姫マリア・カラスの晩年、彼女がその世にも美しい歌声を失ってしまった頃から始まる。彼女にとって古くからの友人であるある音楽プロモーターは、ある秘策をもってカラスに逢いに行く。最新の技術を用いてカラスの歌声を蘇らせようというのだ。
つまり、現在の映像に全盛期の歌声を重ね合わせて映画を作る。それは人生に絶望したカラスを救うための方策でもあるはずだった。そうして、超一流のスタッフを集め、オペラ映画『カルメン』の撮影が始まる。しかし――。
カラスをふたたび音楽に誘うゲイの音楽プロデューサーもいいが、なんといってもファニー・アルダン演じるマリア・カラスの存在感が圧倒的だ。
初め、暗い部屋で在りし日のオナシスの思い出を振り返り、じぶんの曲を聴いている辺りは普通の女性、しかしひとたび映画撮影に入るや、彼女は見違えるような活力を発揮しはじめる。この世に無二の女性、伝説の歌姫、永遠のマリア・カラス。ゴージャスなシャネルのスーツが素晴らしく良く似合っている。
こういう作品を見ると、次はシャネルの伝記映画でも見てみようかな、などと思ってしまうのだった。