『インビクタス』。

インビクタス / 負けざる者たち Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

インビクタス / 負けざる者たち Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

 いまや名匠の誉れも高いクリント・イースウッドの最新作。前作『グラン・トリノ』がすばらしかったので、期待を込めて見に行ったのだが、さすがにさすがの出来であった。

 物語についてはくわしく語らなくてもご存知の方も多いだろう。かの悪名高いアパルトヘイトの国南アフリカ共和国で、三〇年近くにわたって囚人であったネルソン・マンデラが大統領に就任するところからすべては始まる。

 少数の白人と大多数の国人に分裂した国を治めるマンデラは、近くこの国で開かれるラグビーワールドカップ優勝に国をひとつにする期待を託す。そして南アフリカは専門家の予想を覆して勝ち上がっていく。

 話の筋立てはきわめてシンプルで、無駄がない。それほど予想外の展開が待っているわけでもないのに、あっというまに劇空間に引き込まれるのはそのおかげだろう。

 イーストウッドの傑作の一つとして語り継がれるべき作品であることは間違いない。三〇年近くも牢獄にありながら、なお「赦し」を語るマンデラのカリスマあふれる人柄には感銘を受ける。

 しかし、たしかに美談ではあるけれども、これもやはりスポーツの政治利用の物語であることには変わりないわけだ。ラグビーについてはくわしくないが、サッカーワールドカップが様々に政治利用された過去をもつことは聴き知っている。

 はたしてこれを全面肯定するべきなのか否か、ぼくにははっきりした意見がない。傑作だとは思うが、何か胸にもやもやしたものがのこる映画でもあった。