ひとつの台詞が何重もの意味をもつ漫画。


 『Landreaall』15巻。いやあ、深い、深い、深すぎて、わかりづらい。とにかく台詞の意味が取りづらいんですよ、この漫画。

 今回ひっかかったのは、いくつかあるけれど――ペトロニウスさんも取り上げていますが――この台詞。

「君は報われない幸せを知らない」

 これねえ、わからないですよ、初読じゃ。ふつうの読者はそうだと思う。

 以下、『Landreaall』を読んでいないひとにはわからない話になりますので、未読の人は読み飛ばしてください。

 さて、この台詞は、

「俺は… つまり …対等でいたいから 敬意… を払ってる」
「DXがフィルに?」
「俺がフィルに」
「騎士団は浮かれた理想主義とナルシシズムできてる」
「俺は報われない幸せを知らない」

 という流れで出てきます。この流れがそもそもわからなかった(笑)。何でフィルの話をしているのにライナスは騎士道のことを持ち出すんだ、と。

 これは、ようするにDXがフィルに対してやっていることは上から目線の騎士道のようなものだ、と嫌味をいっているんですね。それは浮かれた理想主義とナルシシズムに過ぎない、と。

 これに対してDXは「君は報われない幸せを知らない」と返すわけですが、これはいくつかの意味があると思います。

 まず、(1)ライナスに対して、お前には報われない幸せのことはわからないだろう、といっている。これは、そのままの意味ですね。

 で、(2)第3巻でDXが無償でマリオンを助けたことともかけている。さらに、(3)そのマリオン自身が自己犠牲でDXの両親を助けたことも絡めて、じぶんはそういう生き方を支持するよ、といっている。

 その上、(4)じぶんがフィルに対してやっていることは「報われない幸せ」だといっている。そしてまた、(5)騎士道とはそういうものであり、それは合理主義で生きる商人にはわからないんだよ、と語っている。

 で、DX自身は気づいていないだろうけれど、(6)そういうDXはやはり「王」の器である、ということが、最前までのクエンティンの台詞と絡んで「読者には」わかる、と。

 たぶんこういう意味だと思うんだけれど、まだあるかも。よくできているな、この漫画。ひとつの台詞が何重もの意味をもっていて、よ〜く読まないとわからない。でも、それをひとつひとつ解き明かしていくと何とも深遠な物語世界が浮かび上がるんですよね。

 そういうわけで、『Landreaall』、未読の方にもオススメです。

Landreaall 15 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

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