『加奈』。


 DMMのDL販売に『加奈』が登場。ふたつのバージョンがありますが、原画が違うだけで話は同じです。

 これはね、名作ですね。

 十年以上前の作品だけれど、たぶん、いまやってもおもしろいはず。

 山田一田中ロミオ)のシナリオではあるものの、全編ギャグなし、シリアス一辺倒の「泣かせる」物語となっております。

 タイトルからは安っぽい妹萌え近親相姦恋愛ゲームが想像されかねないし、じっさい、大枠ではそうなのですが、それに留まる作品ではありません。

 兄と妹の「禁断の恋」を描いた作品は無数にありますが、さすが山田一というべきか、この作品はその手の凡庸な作品と一線を画します。一本の物語として普通におもしろい。

 この作品が巧いのは、主人公たちの幼年時代から話を始めるところ。幼年時代、中学時代、大学時代、と時を追いかけて物語を語っていくからこそ、主人公が初めは憎んでいた難病の妹加奈を大切に思うようになっていくプロセスがよくわかるのです。

 そうして兄と妹の悲恋は盛り上がっていきます。果たして刻一刻と病に冒されていく加奈のからだはどうなるのか? そして兄は妹を受け容れることができるのか?

 病気の描写も(いささかのご都合主義はあるとはいえ)リアルに描きこまれ、「死」の恐怖が恋を、いっそうつよく燃え上がらせます。

 いわゆる「萌え系」の作品を希望する向きには向かないかもしれないけれど、より一般的な意味でおもしろい作品を求めるひとにはお奨め。エンディングはたしかに泣かせます。

 ぼくは好きなんだよなあ、このゲーム。