『アラベスク』。

>自分の幸福のために子供を捨てることが、肯定的とはいわないまでも否定的でなく描かれている作品があるか

 完全に肯定的かはちょっとよく覚えていないんですけど、参考までに。

 山岸凉子の『アラベスク』で、主人公ノンナの親友・アーシャが「子供を犠牲にしてでもバレエを踊りたい」といった発言をしています。

 アーシャは当時の少女漫画の典型的な「主人公の親友」で、主人公のような派手な才能はないが主人公の理解者、脇の方で地味に恋愛して地味にくっついてる、といったキャラです。特に個性も表現されておらず、本当に「主人公の親友」でしかないキャラ。仕事のためには何もかも犠牲にするといった役柄では決してないです。

 その、ただの「主人公の親友」が、結婚後ようやく主役をつかんだのですが、運悪く妊娠しているのが発覚します。この時期に無理をすると流産するかも、というタイミングで。

 ですが、アーシャは「赤ちゃんがだめになってもいいから踊りたい」と言う…。

 リアルタイムで読んだわけではないし、女性はかく生きるべしと思い込んでるほうでもありませんが、とにかく衝撃でした。おきて破りだとも思いました。漫画としても、女性としても。

 一番すごいと思ったのは、この発言が作中で非難されなかったということです。チャンスをつかむには仕方ない、というか、その精神がバレエをやる上では必要である、というニュアンスで、主人公も衝撃を受けつつ親友を尊敬しているような描写だったと思います。

 まあ、フィクションにおける女性性がどうの、より「バレリーナは恐ろしい…」ということが一番に感じるんですけどね。

 だいぶ昔に読んだので、うろ覚えの勘違いがあるかもしれません。ごめんなさい。

 「アラベスク アーシャ 赤ちゃん」で検索すればこの件について書いているサイトが多少引っ掛かります。

 『アラベスク』は第二部まで通して読んでいるはずなんですが、そのエピソードは憶えていません。たしか学校の図書室で読んだような記憶があるのですが……。すいません。『アラベスク』も読み返してみないといけないですね。

 よく「SFを語るには一〇〇〇冊読め」というようなことがいわれるけれど、一○○○目を読み終わる頃には一冊目の記憶は霧のなかなんだよなあ。ぼくの記憶力が悪いだけかもしれませんが。

アラベスク (1) 第1部上 (白泉社文庫)

アラベスク (1) 第1部上 (白泉社文庫)