なぜユフィは死ななければならなかったのか?

 7月11日のネットラジオ、無事放送終了できました。

 海燕さん、お疲れ様でした。

 聞いていただいた皆さんありがとうございました。

(中略)

 個人的には、コードギアスのユフィについて肯定的に語ることが出来たのが嬉しかったです。

 一昨日のラジオはけっきょく8時間も放送してしまったんだけれど、そのなかで最も詳しく語らせてもらったのが、『コードギアス』のヒロイン、ユフィことユーフェミア・リ・ブリタニアでした。

 ネタバレになりますが、この人物は物語の中盤で悲劇の死を遂げます。そして、かんでさんとは、なぜユフィが死ななければならなかったのか、ということを話したのでした。

 で、結論としては、物語のなかに役割を見出すことができなかったキャラクターは、物語のなかからはじき出されてしまう、という話が出たんですね。

 リアルの人間は特別何の理由もなくただそこにいるだけですが、物語の登場人物は作者から何らかの「役割」を与えられています。

 わかりやすくいうと、たとえば「主人公」、「主人公の仲間」、「ライバル」、「ヒロイン」、「敵役」といった役割が考えられます。

 『コードギアス』でいうと、「主人公」はもちろんルルーシュ、「主人公の仲間」はカレンを初めとする黒の騎士団、「ライバル」はスザク、「ヒロイン」はシャーリーやCC、「敵役」はシャルルやシュナイゼルということになります。

 もちろん、これは非常に単純化したいい方で、ひとりで何役も背負っている人物もいるわけですが、とにかく物語のなかで何の役割も果たさない人物は、無駄でしかないわけです。

 それでは、ユフィの役割とは何だったのか。

 初め登場したとき、彼女は数いる「ヒロイン」のひとりであるように見えました。ブリタニアの姫君にして、ルルーシュの「ライバル」であるスザクの主君。

 さいごにはルルーシュと敵対する立場であることは予想できたとしても、ルルーシュほどの「格」のもち主とは見えなかった。

 ところが、彼女は物語のなかでしだいに成長していき、遂にイレブン(日本)の副総督として「行政特区日本」という政策を発表することになります。

 これは作中でルルーシュがみずから敗北を認めるほど優れた政策とされており、これを発表した時点でユフィはルルーシュを乗り越えたといっていいと思います。

 ところが、『コードギアス』という作品はやはりルルーシュを「主人公」とする作品なのですね。そして、ひとつの作品に「主人公」はふたりいらない。

 だから、ユフィがルルーシュを上回る「格」のもち主に成長して、ルルーシュを敗北させてしまうと、かれの立場がなくなるわけです。

 あるいは、場合によっては「ライバル」としてルルーシュと競いあうこともできたかもしれない。ところが、「ライバル」のポジションには既にスザクがいて、かれの立場をおびやかすことも困る。

 だから、ユフィはああいう不条理なかたちで死ななければならなかった。そういうことなんじゃないか、と、そんな話をしました。

 これはこれで非常に優れた、ショッキングな展開ではあるし、多くの視聴者は好意的に評価しているように思える。しかし、ぼくとしてはもっと長くルルーシュと競いあうユフィを見てみたかったとも思うのですね。

 しかし、たぶんいままでのドラマツルギーでは、ユフィのようなキャラクターは物語のなかにそういう「役割」は見出すことができないのかな、という気がします。

 ルルーシュとスザクを決定的に決裂させることがユフィの役割だった、ということもできるでしょうが、それだと物語のなかの重要度がこのふたりより下だということになるからなあ。いや、じっさい、そうだったんだろうけれど。

 ぼくは物語のなかにそういった形ではない「役割」を与えられたユフィ、不条理な出来事で物語から「途中退場」させられないユフィ、そういうキャラクターを見てみたいのです。

 おもしろくなりそうだと思うんだ。

「君はおれにとって最悪の敵だったよ。君の勝ちだ」