少女性愛小説の暗い森。


 ロリコン向け、少女性満載の映画や文学を見てみよう

 個人的には谷崎潤一郎「天鵞絨の夢」が一押し。これ、ぼくの読書人生における短編ベストを争う傑作なのだが、あまり評価が芳しくない大正期の谷崎作品、しかも未完ということもあって、知名度は高くない。しかし、谷崎美学の精髄を味わえる一作である。

猟奇文学館〈1〉監禁淫楽 (ちくま文庫)

猟奇文学館〈1〉監禁淫楽 (ちくま文庫)

 あとは、リチャード・コールダーの『蠱惑』、『デッドガールズ』、『デッドボーイズ』の〈自動人形〉三部作。本当は『デッドシングス』という完結編があるのだが、出版社倒産のため、未訳。いや、翻訳は完成していたらしいのだが、出版されなかった。うわーん。

アルーア

アルーア

 文学という括りには入らないかもしれないが、変り種として石田衣良の「ラストシュート」を挙げておきたい。ベトナムへ幼児売春に出かける幼児性愛者の医者と、その旅に同行することになったカメラマンの物語である。

 ここには、きらびやかな少女幻想はない。日本人の大人がベトナム人の子供を幼児を性的に搾取する姿がただひたすらリアルに、生々しく綴られるだけである。ひとによっては吐き気がするような光景が淡々と描かれる。

 次々と子供たちを毒牙にかけるこの医者は悪魔のような人物ではあるが、同時に、だれよりも人間らしい「業」を抱えた男でもある。「同性愛者がうらましいよ」という一言が忘れられない。幼児性愛小説というより、幼児性愛者小説の傑作というべきだろう。

LAST (ラスト) (講談社文庫)

LAST (ラスト) (講談社文庫)

 性もまた、ひとの抱える「業」のかたち、時には光あふれる都市を離れ、少女性愛小説の暗い森に迷いこむのも一興かと。