『弱虫ペダル』。

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 第三巻まで読了。

 渡辺航の新作は少年漫画の王道を往く自転車漫画である。自転車には詳しくないぼくが読んでも思わず胸が踊る、そのような作品に仕上がっている。

 主人公はある平凡なオタク少年。あたらしい友人を作ることだけを目的に高校に入ってきた彼だったが、実は非凡な能力のもち主だった。自宅から秋葉原までの道のり45キロを毎週自転車で往復していたのである。

 些細な偶然から自転車で勝負することになった彼は、そのことを契機に自転車部に入部し、次第にそのたぐいまれな資質を開花させていく。

 こうまとめてしまうと凡庸だが、じっさいに読んでみると巧みな「語り」で読ませられる。何の特技もない、スポーツも苦手な少年が、秘められた才能を発揮していく展開も魅力がある。

 それほどの独創性はないが、自転車競技の魅力を余すところなく伝えているといえるだろう。いまの段階で十分におもしろい作品である。

 あえて欠点を挙げるなら、少しとんとん拍子に進みすぎている点だろうか。それまで「ママチャリ」にしか乗ったことがない少年が、一気に時速50キロ、60キロの世界で勝負することができるようになるものだろうか。その点に少し無理があるように感じた。

 もっとも、その点を差し引いてもやはり優れた作品だと思う。まだ物語は序盤に過ぎない。これからどのような試練が少年を待ち受けているのか、注目だ。