〈十二国記〉再読。


 と、上には書いたが、何冊もの本を同時に読むのがぼくの悪い癖で、上記の作品と平行して小野不由美十二国記〉を読み返している。

 読み返すといっても初めから丁寧に物語を追いかけるわけではなく、飛ばし飛ばし気にいった箇所を読み進めるだけだから、速い。

 『月の影 影の海』を読み、『風の海 迷宮の岸』を読み、『東の海神 西の滄海』を読んで、いま、『風の万里 黎明の空』まで辿り付いた。

 小野の筆は物語が後半へ行くにしたがい益々凄みを増しているように思う。『月の影 影の海』ではまだ粗を残していた文体も、『風の万里 黎明の空』まで来ると一分の隙もない。

 いわゆる美文でこそないが、一切無駄がなく、一語一語丹念に彫琢されていることを偲ばせる。一応、ライトノベルの範疇にある作品ではあるものの、その筆力は「ライト」とは程遠い。ある意味、最もライトノベルらしくないライトノベルといえるだろう。

 このシリーズ、『図南の翼』辺りが最も評価が高いようだが、ぼくは『風の万里 黎明の空』を好む。

 この小説を読むと、いつも、成長とは何かと考え込んでしまう。この作品の三人の主人公は、物語のなかでそれぞれに成長していくのだが、その過程があまりに都合よく思えるのである。

 ひとは、それほど早急に変われるものだろうか。変わらなければならないものだろうか。『風の万里 黎明の空』はぼくにそんなことを考えさせる。

 いずれにしろ、〈十二国記〉はやはり傑作である。必ずしもぼくの趣味ではないけれども、日本のファンタジィを代表する名作といっても、そう過言ではないだろう。

 そうこうする内に、正月二日も更けていくのであった。

月の影 影の海(上) (講談社文庫)

月の影 影の海(上) (講談社文庫)

月の影 影の海(下) (講談社文庫)

月の影 影の海(下) (講談社文庫)

風の海 迷宮の岸 十二国記 (講談社文庫)

風の海 迷宮の岸 十二国記 (講談社文庫)

東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社文庫)

東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社文庫)

風の万里 黎明の空(上)十二国記 (講談社文庫)

風の万里 黎明の空(上)十二国記 (講談社文庫)

風の万里 黎明の空(下)十二国記 (講談社文庫)

風の万里 黎明の空(下)十二国記 (講談社文庫)