「Something Orange」2008年のベスト。

 今年も一年間、色々な本を読みました。以下は「Something Orange」が選ぶ2008年のベストです。ちなみに漫画からは『よつばと!』、『HUNTER×HUNTER』などの定番は除外しました。

○小説部門

1位 虚淵玄Fate/Zero』(感想

Fate/Zero Vol.1 -第四次聖杯戦争秘話- (書籍)

Fate/Zero Vol.1 -第四次聖杯戦争秘話- (書籍)

 壮絶なる第四次聖杯戦争を描く『Fate/stay night』の前日譚。『Fate』本編では断片的にしか綴られていなかった前聖杯戦争を幻視する虚淵玄の破格の想像力を見よ! まさに今年のベストを捧げるにふさわしい、伝奇小説の歴史的傑作。

2位 連城三紀彦造花の蜜』(感想

造花の蜜

造花の蜜

 驚天動地のトリックを巧みな「語り」で覆い隠した連城三紀彦の本格推理。様々な謎で満たされた誘拐事件は、隠された真相が明かされたとき、全く別の事件へと変転する。『夕萩心中』でも良いが、トリックのすばらしさからこちらを選ぶことにした。

3位 ジョン・クロウリー『エンジン・サマー』

エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)

エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)

 繁栄をきわめた機械文明が亡び去ったあと、人々はのこされた遺物にすがりながら細々と生きのびていた。そしてある日、「しゃべる灯心草」は幼なじみの少女「一日一度」を捜し求めてはるかな旅路に立つ。幻想文学とSFを越境する永遠の名作。

4位 川端裕人『エピデミック』(感想

エピデミック

エピデミック

 放置すれば、数千万、数億ものひとの命を奪うかもしれない疫病に立ち向かう人類の武器「疫学」。その疫学を縦横に使いこなす「疫学探偵」たちの活躍をスリリングに綴った唯一無二の「疫学小説」。めちゃくちゃおもしろかった。

5位 ロイス・マクマスター・ビジョルド『チャリオンの影』(感想

チャリオンの影 上 (創元推理文庫)

チャリオンの影 上 (創元推理文庫)

 その男は、ある日、すべてを失って故郷へと帰ってきた。しかし、それこそが波乱万丈の冒険の始まりだった! 深い思慮のほかは取り立てて長所もない中年男を主人公に仕立てた長編ファンタジィ。しかし、その精緻な構成は読む者を夢中にさせる。

○漫画部門

1位 みなもと太郎風雲児たち』(感想

風雲児たち (1) (SPコミックス)

風雲児たち (1) (SPコミックス)

 文句なし! 今年読んだ漫画のなかであらゆる意味でベスト。「日本史」をそのまま漫画化するという壮大なプロジェクトに個人で挑んだ破格の傑作。現在、「幕末編」が進行中だが、はたしていつ結末を見ることになるのか。目が離せない作品である。

2位 BoichiHOTEL』(感想

Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)

Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)

 地球規模の環境異変「ポジティブ・フィードバック」によって、人類が滅亡した近未来、地球上のあらゆる生物の遺伝子を保管して果てしない時間を耐え抜く「ホテル」の姿を綴った表題作はまさに名作。この作品を読まずして今年の漫画を語ることなかれ。

3位 末次由紀ちはやふる』(感想

ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)

ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)

 競技カルタ! そのマイナーな競技に打ち込む少年少女たちを描いたいま注目の作品。マイナーであるが故に仲間も少なく、孤立無援に近い状態でなお自分の道を進む主人公たちの姿は読む者の胸を熱くさせる。少年漫画に劣らないホットな空気に満ちた作品。

4位 くらもちふさこ『駅から5分』

駅から5分 1 (クイーンズコミックス)

駅から5分 1 (クイーンズコミックス)

 あるひとつの街を舞台に交錯する人々の姿を一話完結の連作短編形式で描いた斬新な少女漫画。一話話が進むごとに別の視点から人々の関係性が刷新されるところが魅力。パズルのように関連していく出来事をどこまで把握しつづけられるかが勝負か?

5位 幸村誠ヴィンランド・サガ』(感想

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)

 しばらく前から連載を追いかけていたが、あえて今年のベストに挙げる。個人的には、今年最もブレイクした作品かもしれない。ひ弱に見えた少年王子クヌートが、その秘められた資質を開花させ「王」へと生まれ変わる場面には震えた。来年の展開が早くも楽しみ。