- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/04/11
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往年の名作『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイク。
前作の製作は1972年だから、既に30年以上前の映画ということになる。ぼくはテレビで見たのだが、そのスリリングかつドラマティックな内容は忘れがたいものがある。ここから着想を得たとおぼしい『セプテントリオン』なんてゲームもありましたね。
リメイクはオリジナルに及ばないのが常だが、この『ポセイドン』はなかなかに健闘していると思う。何しろ、三十数年間で進歩したSFXやCGによる画像がすさまじい。
高級旅客船に乗り合わせた乗客のうち99%があっさりと死んでしまうという酸鼻なパニック映画なのだが、この作品ではそこのところを実に詳細に描きこんでいる。
その点では前作を超えたといっても過言ではないだろう。船からの脱出を試みる主人公たちに次々と襲い掛かってくる試練の数々も、なかなかに工夫が凝らされていて楽しい。
いや、映画だから楽しんで見られるけれど、じっさいこんな目に遭ったら気が狂っていると思うね。ぼくは真っ先にパニックに陥って死ぬ自信がある。
下(船が転覆しているので、元々の「上」)から刻一刻と水が迫ってきて、タイムリミットの役割を果たしているのもおもしろい。サスペンス映画としては及第点を満たしているといえるだろう。
ただし、前作を凌駕するのはその点だけ。映画のもう一方の主軸になるはずの人間ドラマの側面では、前作比で大きく見劣りする。
順当に善人が生きのこり悪人が死ぬので、感想の書きようがないくらいである。初めの辺りで性格が悪い奴が一瞬で死んでしまうのはちょっと笑った。
まあ、一応、親子愛の絡むエピソードなんかもあるんだけれど、いまひとつ感動的ではない。映画の尺が98分しかなく、そのうち10分弱はエンディングロールだから、そういう側面は意図してバッサリと削ったのかもしれない。
そういうわけで、重厚な人間ドラマを期待する向きにはあまりお奨めできないが、豪華セットがどんどん壊れていくさまを観たいひとにはお奨めできる作品である。最近のハリウッド映画にありがちの内容といえよう。