『アイ・アム・レジェンド』。

アイ・アム・レジェンド (UMD Video)

アイ・アム・レジェンド (UMD Video)

 いまひとつか、いまふたつくらいの出来かな。

 ウィル・スミス主演のホラー・アクション映画。物語は、近未来のニューヨークで、主人公がひとり孤独に生活しているところから始まる。

 ひとり孤独に、といっても「都市生活者の孤独」という次元ではない。文字通り主人公ひとりだけしか生きのこっていないのである。

 どこまで車を走らせても人っ子ひとり見当たらず、アスファルトの上には草が生え、野生動物がそこらをうろついている。いったい何があったのか?

 実は物語の年から3年前、ある科学者によって開発されたウィルスによって人類の大半は死亡し、生きのこった人びともほとんどはダーク・シーカーと呼ばれる怪物に成り下がっている、という設定。

 科学者である主人公は、自分のほかにはだれも生きのこっていないのではないか、という不安とたたかいながら、ラジオを使ってまだ見ぬ人びとに呼びかけつづけている。

 ワクチンによってダーク・シーカーに変わった人びとを元に戻せるかもしれないということだけを希望にして。

 と、この導入はおもしろそうなんだよなあ。しかし、基本的な設定の段階で破綻が多すぎると思う。

 文明の崩壊から数年も経っているのにまだガスや電気は問題なく使えるようだし、ヒトやイヌはダーク・シーカー化するのにシカやライオンはそのままというのもちょっと不自然(そもそも、この野生動物、どこから来たんだろう。シカはともかくライオンはニューヨーク付近に住んでいないと思うんだが)。

 もっというと、なぜ主人公ひとりだけが生きのこっているのかわからない。物語中では人類の大半までが死ぬか、ダーク・シーカーになったという描写があるのだが、それでもニューヨークほどの大都市、数万人は生きのこっていないとおかしいのでは?

 仮にニューヨークで主人公ひとりしか生きのこれないほど致死率が高いとすると、今度は終盤ほかの生きのこりが出てくる辺りの展開がおかしくなる。

 ウィルスが発生してから3年間のあいだに何があったのか、どうもつじつまが合わないのである。

 また、ニューヨーク市は橋が破壊されて封鎖されているはずなのに自由に出入りしている様子なのもよくわからない。ここら辺はぼくがニューヨークの地理に無知だから誤解しているのかもしれないけれど、やっぱり不自然なんじゃないかな。

 いくつか伏線も処理されないままのこっているし、ファミリー向けの吸血鬼/ゾンビものとして見てもやはりいまいちだと思う。

 ぼくは映画にとって小さなミスや矛盾が大問題だとは思わないが、この場合は突っ込みどころが多すぎる。人類滅亡後を舞台にしたゾンビものとしては、このあいだ見た『バイオハザード3』のほうがおもしろかったかも。

 実はもうひとつ結末があるという話もあるのだが、ぼくはレンタルで見ているので確認できないのであった。

 なんか、ほとんど褒めていないな。冒頭、無人のニューヨーク・シティの描写は良かったんですけどね。