『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』。

 才能のある人物とはいるものだ。

 フランク・ウィリアム・アバグネイル・ジュニア(レオナルド・ディカプリオ)の才能とは「嘘」。かれは生まれつき天才的な嘘つきの才能を備えた少年だった。

 あるとき、フランクは両親の離婚をきっかけとして、家出する。手に職はなく、学歴も中途半端。どうしようもない状況で、かれは詐欺師として働くことに目覚める。

 その手口は巧妙を極め、あっというまに大金を稼ぎ出した。しかし、アメリカ全国を股にかけるかれの「仕事」はFBIの注目を集め、有能な捜査官ハンラッティ(トム・ハンクス)が追いかけてくることになる。

 逃げるフランクと追うハンラッティ。ふたりは数年にわたって全米を舞台にした「追いかけっこ」を繰りひろげる。

 フランクは大成功しながらも、だれにも真実を話すことができないという孤独地獄に陥っていく。そして、そんなフランクが唯一心を開くことができるのは、皮肉にも、ハンラッティだけだった。

 フランクはクリスマスのたびにハンラッティに電話をかけるようになる。真逆の立場に立つふたりのあいだに、次第に奇妙な友情が芽生えていく……。

 と、そういうわけで、スティーヴン・スピルバーグ監督の詐欺師映画である。FBI捜査官ハンラッティこそ架空だが、フランクは実在の人物で、かれの詐欺の手口もじっさいに行われたものを流用している。

 一見すると「ありえない」と思ってしまう話なのだが、ノンフィクションとあってはどうしようもない。「世の中にはおもしろいひとがいるんだなあ」とただただ感心するだけである。

 物語は、フランクが捕まるところから始まり、かれの詐欺師生活を時間をさかのぼって綴っていく。

 善良な生活を送る一般人にも、どこかで天才的な犯罪者にあこがれる心理は眠っているものではないだろうか? スピルバーグはさすがの演出でその心理をくすぐり、悪のサクセス・ストーリーをスタイリッシュに、スリリングに描く。

 もっとも、悪党とはいってもフランク青年の心はまだまだ子供。ほとんど無邪気とすらいえるような稚気で犯罪を繰り返しているだけなのだ。

 そこらへん、主演のレオナルド・ディカプリオは絶妙の演技を見せ、実に魅力的な詐欺師青年を演じている。

 一方のトム・ハンクスも渋い好演。ともに「仕事」に辣腕を発揮しながらも、私生活では孤独なふたりの男の心が自然と近づいていくくだりには説得力がある。

 評判も良かったようだが、実にポップで痛快な映画である。ちょっと長いけれど、まずまず、満足な仕上がりですね。