『幸せのレシピ』。

幸せのレシピ 特別版 [DVD]

幸せのレシピ 特別版 [DVD]

 お洒落な映画である。

 主人公はニューヨークのとあるレストランでシェフを務める女性ケイト(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)。

 あるとき、彼女は事故死した姉の娘、ゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を引き取ることになる。

 仕事にかんしては完璧なケイトだったが、子守りは未経験。おまけに短気でプライドが高い性格で、子供の扱いは大の苦手。

 必死にやり遂げようとしても、心ならずもゾーイを傷つけてしまうこともしばしばだった。おまけに、ゾーイはなぜか彼女が作ったものを食べようとはしない。いったいどうしたら良いのか、ケイトは悩みつづける。

 そんな頃、彼女のレストランに第二シェフとして、イタリア料理の名手ニック(アーロン・エッカート)があらわれる。仕事中にオペラをかけ、会話を楽しみながら料理するかれは、ケイトとは正反対の人物。

 次第にニックの存在はケイトの硬く凝り固まった心をほぐしていくのだった……。

 と、あらすじを抜き出しただけだと陳腐にすら思えるが、実に、実に、キュートな仕上がりだ。

 物語そのものはありふれたパターンに過ぎないが、その物語を活かす演出がいかしている。何気ない画面の一つ一つ、レストランの風景や、ニューヨークの町並みや、部屋のインテリアが一々お洒落なんだよね。

 監督は『シャイン』のスコット・ヒックスだが、ぼくは『シャイン』よりこっちのほうが好きだ。

 もっとも、完璧な映画というわけでもないと思う。たしかにキュートでハートウォーミングな映画ではあるのだが、映画として、もう少し人間関係の掘り下げが欲しかったところ。

 母親を亡くしたゾーイが立ち直るまでの悲しみを、もう少し深く描けていたら、傑作になっていたかもしれない、とも思う。

 最大の欠点はほかならぬ料理の場面だろうか。Amazonでもそういう意見が多いけれど、たしかに、料理の官能性はもうひとつなんだよなあ。

 レストラン映画なんだから、もう少し料理を前面に出していっても良かったのでは。ちょこっと出てくるまかないのイタリアン・パスタがいちばんおいしそうだった。

 ちなみに、この作品、ドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイクである。

マーサの幸せレシピ [DVD]

マーサの幸せレシピ [DVD]

 ぼくの予感では、たぶん、こっちのほうが傑作なのではないかと思う。リメイクはなかなかオリジナルを超えられないものだから。

 いずれ、この作品も見てみることにしよう。