『Landreaall』がおもしろい。

Landreaall 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

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 毎度同じような書き出しで申し訳ないが、『Landreaall』がおもしろい。

 いろいろと細かい点がわかりづらいので、漫画表現的には巧くないのかもしれないが、物語が圧倒的。いやあ、ペトロニウスさんがこれを読んだとき何というか楽しみだ(笑)。

 以下ネタバレあり。

 この作品をご存じない方のために簡単に説明しておこう。『Landreaall』はおがきちか作のファンタジィ漫画である。主人公は王位継承権者にして「竜殺し」の青年、DX・ルッカフォート。物語は、主に、DXとかれの妹イオンの冒険を追いかけていく。

 いま、物語が始まってから初めて、DXとイオンは別行動を採っている。DXは友人の竜胆を救うためウルファネア王国へ向かい、イオンは学園(アカデミー)にのこったのだ。

 そして、イオンがのこされたアカデミーになぞのモンスターたちが襲い掛かってくる、というのが現在の展開。

 孤立したアカデミーに取り残されてしまった生徒たちは、自らの力で「騎士団」を作ることになる。これがおもしろい。

 人間は人間同士で協力しあい、ネットワークを作ることによって、個人では不可能な作業を成しとげることが出来る。人間がほかの動物と決定的に異なるのはその点だ。

 そのネットワークを時により組織と呼び、社会と呼び、企業と呼び、国家と呼ぶ。いま、この作品で描かれているものは、その組織が誕生する瞬間である。

 アカデミー騎士団。ティ・ティが指導者となり、カイルが実戦部隊をまとめ、アカデミーの生徒たちが手足となってたたかう、急造の「騎士団」だ。

 この騎士団の活躍が、ぼくの目には実に感動的である。いままで「個人」として登場し、活動してきた人物たちが、信頼で結びつきあい、「組織」を形づくる、その興奮。

 アカデミーではすべての生徒は平等である。しかし、組織の一員となれば、もはや平等ではない。各人はその技能・才能によって異なる場所に割り振られ、異なる役目を担うことになる。

 たとえば、ティ・ティだ。ほかの生徒たちが命がけで剣を振るうなか、ティ・ティは一人、安全なところで指示を出しつづける。そして時には味方を見捨てるような非情な判断も強いられる。

 一見すると、かれひとりだけ楽をしているようにすら見える。しかし、ティ・ティがそうやって指示を出しつづけているからこそ、この「騎士団」はかろうじて形を維持していられるのだ。

 これこそリーダーであるということである。かれの肩には「信頼」という名の贈り物が「責任」という名の重石となってのしかかっている。ここら辺の描写は本当に素晴らしいと思う。

「あなたが、かれらに命じたのではない。かれらが、あなたを選んだのだ。あなたには、選ばれたことに対する責任こそあれ、かれらの死を背負いこむ理由などありませんよ。あったとしたらそれは傲慢というものです。こういっては、傷ついているあなたにきびしすぎることばときこえるかもしれませんが。私は――私もまた、いろいろと悩みました……私の迷いを啓いてくれたのは、私がその一生をほろぼすことになった男のことばだった。私が正しい愛国者の道からひきずりおろし、闇にひきこみ、迷わせ、恋を奪い、ともに破滅することへひきずりこんだ、その男がにっこりと笑って、『あなたじゃない、私があなたを選ぶのだ』と考えるにいたったとき――私は、はじめて知りました。それでは世の中には、何かを与えてやることではなく――何かをしてもらうこと、何かを与えてもらうことによってだけ与えることのできる贈り物もあるのだなと――その贈り物の名は、《信頼》というのだと」

グイン・サーガ(65) 鷹とイリス』

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 『コードギアス』のルルーシュに足りないものはここら辺のことだったんだよね。

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