生涯一作の作家たち。

BASTARD!! 25 (ジャンプコミックス)

BASTARD!! 25 (ジャンプコミックス)

 第25巻。

 遂に竜戦士を召還したダーク・シュナイダーは、時空を揺るがしながらウリエルと激突する。そのたたかいを見守るベルゼバブは、なぜか不機嫌そうな様子を見せるのだった。

 と、あらすじを書いてもあまり意味がないだろう。この一巻を通してほとんど話は進んでいない。とにかくこれくらい物語が進展しない作品もめずらしいと思う。

 ただ、それなら退屈な出来なのかといえばそうでもない辺りがおもしろいところで、とにかく比類ない作品といえる。すごいや、ハギー。

 なぜ物語が進まないのか? それはひとえに細部にページが費やされるからである。この期に及んでさらに繊細さを増す画力は、ひたすら衝突! 激突! 爆発! を描くことに蕩尽されている。

 やっていることは10年前と同じ。しかし、そのクオリティは増す一方。阿呆だ。ある意味、阿呆だ。しかし、虚仮の一念何とやらで、その迫力はすさまじいものがある。10分で読み終わるものにここまでの労力をかける意味があるのかと思うくらい。

 生原稿がどれほど美しかったにしろ、単行本に圧縮する段階でその魅力の過半は失われるだろうに、恐ろしい執着というしかない。

 またエロ同人誌出すのか。趣味でやっているのか、それとも営利事業なのかわからないけれど、これほど本編が進まないのに同人誌を出す根性もすごい。この作品は本当に完結できるのだろうかとあやぶんでいるのはぼくだけではないだろう。

 仮に完結できるとしても、萩原一至の作家生命はほとんどこの一作で尽きてしまうように思う。まさかこの先、『BASTARD!!』に匹敵する作品を描くチャンスはないはずだ。

 このひとだけでなく、『ベルセルク』の三浦健太郎や、『ONE PIECE』の尾田栄一郎も、ほぼ一作に作家生命をつぎ込んでしまっているように見える。

 ある意味、生涯一作。しかし、その一作だけで何千万部を売りつくす。それはそれですごいことだけれど、もう少し話をコンパクトにまとめて、色々な作品を読ませてほしいと思うのはわがままなのでしょうか。