『エリザベス −ゴールデン・エイジ−』


 ひさしぶりに映画でも見るか、ということで、『エリザベス −ゴールデン・エイジ−』を見てきた。

 アカデミー賞を受賞した作品の続編で、今回も衣装賞を受賞している。だからいうわけではないけれど、400年前の英国を再現したコスチューム・プレイは迫力満点、前作のファンも満足できるはず。

 といいたいところだが、実はぼくは前作を見ていない。しかし、単体でも十分におもしろい映画ではあった。

 この映画は、絶対権力者にのし上がったエリザベスの前に、航海者ウォルター・ローリーが姿を現わすところから始まる。新大陸から帰ってきたこの男は、「処女王」といわれるエリザベスの心に恋心を抱かせる。

 しかし、折りしもその頃、敬虔なカトリック信者であるスペインの国王フェリペ2世が、イギリス征服の「聖戦」を起こすことを企てていたのだった。エリザベスは愛と政治のあいまにひき裂かれながら、スペインの誇る「無敵艦隊」と対決することになる。

 エリザベスとウォルター・ローリーのロマンス自体はフィクションだろうが、登場人物はほとんど実在の人物で、展開も一応史実をなぞっている。

 たぶん、ここらへんの歴史に詳しければもっと楽しめるのだろうが、高校の教科書レベルの知識しかないぼくではどこまでが史実なのかはっきりしなかったことが残念。勉強しよう。

 偉大な女王であるために色恋とは無縁で、侍女に嫉妬したりするエリザベスは、ひょっとしたら歴史に忠実な映画を望むひとにとっては噴飯ものかもね。

 それから、欠点というわけではないが、ウォルター・ローリーが植民地を建設しようとする「新大陸」の扱いが気になった。この映画のなかのローリーはさっそうとしたヒーローだが、かれの夢は「新大陸」人にとっての悪夢である。

 映画のなかではくわしく描かれていないが、今日のアメリカにつながる殺戮と奴隷化の時代はこの男から連なっているのである。

 また、この映画で悪役をつとめるスペインのフェリペ2世は、熱狂的なカトリック信者という設定である(一応史実であるらしい)。

 それに対してエリザベスはカトリックにもプロテスタントにも平等に接する寛容な人物として描かれている。エリザベスにリベラルな政教分離思想が、フェリペ2世に宗教原理主義が仮託されていると見てもそうおかしくないだろう。

 400年前の出来事を描いた映画ではあるが、400年後の世界と断絶しているわけでは決してない。そういう意味でも、なかなかおもしろい作品であった。