タバコが肺がんの原因にあたる理由。

宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ (岩波科学ライブラリー (114))

宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ (岩波科学ライブラリー (114))

 宇宙の彼方から地球征服にやって来た宇宙怪人しまりすと、「先生」のやり取りを通して医療統計を学ぶ一冊。世の中、いろいろな本があるよね。

 笑ったのはここ。

先生:だからね、疫学研究の結果をぜんぜん信じないで、いまだにたばこは肺がんの原因じゃないっていう人もいるんだよ。

しまりす:ひゃー、あんな煙もくもく、いかにも体にワルソーなものをですか。

先生:その理由がね、たばこをたくさん吸ってても肺がんにならない人がいるから、っていうんだよ。

しまりす:たばこを吸った人が全員肺がんになるんじゃないと、たばこが肺がんの原因だ、とはいえないんじゃないの。

先生:でも、そういう人たちでも「結核菌は結核の原因だ」っていうんだよ。

しまりす:あたり前じゃない、結核菌がいなかったら結核にならないでしょ。

先生:だけど、さっきいったように、結核菌に感染した人が全員結核にかかるわけじゃないよね。だから、その人たちの論法でいくと、「結核菌に感染しても結核にならない人がいるから、結核菌は結核の原因じゃない」ってことになるんだけど、そんなことをいう人はいないから、「たばこをたくさん吸っていても肺がんにならない人がいるから、たばこは肺がんの原因じゃない」っていうのはあきらかにおかしいじゃない。

しまりす:なるほど、そういうことですか、どっちでもいいけど。

先生:疫学研究の結果から、たばこを吸う人は吸わない人にくらべて10倍から30倍も肺がんにかかりやすいことがわかってるのに、まだたばこは肺がんの原因じゃないなんていう人がいるのは信じられないよ。ああ、たばこを吸うかどうかをランダムに決めて実験できたら、すぐに証明できるのになあ(引用者注:倫理的問題からできないらしい)。

しまりす:わかりました、先生、ぼくが地球を征服したあかつきには、先生を医療統計大臣にしてやるから、たばこと肺がんのランダム化実験をやりましょう。

先生:よしっ、やろ……、いやいや、やっぱり駄目だよ、あやうくのせられるところだった。

 なるほど、わかりやすい。そういうわけで、やっぱりタバコは肺がんの原因にあたるようです。