2007年のベスト。


 毎年、この時期になると、その年のベストを選んでいるんですけれど、今年はベストを挙げられるほど本を読んでいません。

 あえて今年ふれたすべてのジャンルのなかで傑作を選ぶなら、やはり、『SWAN SONG』に尽きるかな、と。

SWAN SONG

SWAN SONG

 1年間本を読んだり映画を見たりしていると、一人くらいは「これだ!」というクリエイターに出逢うものです。ぼくの場合、去年はスタージョンだったし、一昨年は連城三紀彦、その前は石田衣良だった。

 で、今年は瀬戸口廉也。『SWAN SONG』のシナリオライター。これはもう、信じられないですね。昨年のベストという次元を超えて、いままで遊んだエロゲのなかでは、ベスト・オブ・ベスト。

 というかもう、エロゲがどうとかいう次元じゃなく、一本の「物語」として、マイベストにランクインするくらい凄かった。『Fate』とかも筋立ては面白かったけれど、ちょっと比較にならない。

 おもしろいエロゲはほかにもたくさんあるけれど、「美しい」という言葉で表現したくなるような作品は、ぼくが知るなかではこれだけ。絶望の果てに見出した光景のその絶対の美しさ。

 ただ、中古がAmazonで25000円近くするので、さすがにひとにお奨め出来ない。それが残念。このゲームもDL販売してくれないかなあ。

 もうひとつ『SWAN SONG』に匹敵するインパクトを受けたのが、くり返し宣伝している『らくえん』。こちらはDL販売で3990円。いろいろ問題点はあるけれど、傑作です。

らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~

 一見、シリアスな『SWAN SONG』とは対極に見えるコメディだけれど、根っこのところでは同じものがあるとおもうんですよ。人間賛歌、人間肯定。

 ろくでもない人生を、腐りきった世界を、いかにしてそのままに肯定するか。そういうテーマ。

 自分は被害者だと考えて自己憐憫に耽るのではなく、そうかといって規範に従順にふる舞おうとするのではなく、ただ自分らしく、自由に、世界とたたかうこと。

 善と悪、正と偽、明と暗、幸と不幸、モテと非モテ、そういった二元論にはまり込むのではなく、ただ矛盾を抱えた自分自身を肯定すること。

 つまりは、人間の業をそのままに肯定すること。立川談志の世界だな。

 とにかく、この2作は、ぼくの価値観を大きく揺り動かしてくれたという点で、今年のベストです。

 エロゲかよ。

 エロゲだよ。