- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2007/10/19
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平気でひとを殺す冷酷な不良少年、通称「ツォツィ(不良)」。だれもかれの本当の名前を知らず、また、どこから来たのかも知らなかった。
あるとき、かれは強盗した車のなかに一人の赤ん坊を見つける。仕方なくその子を育てるうち、ツォツィのなかの消えかけた人間性が戻っていく。しかし、かれはもはや戻れないところまで来てしまっていたのだった。
2006年のアカデミー外国語映画賞受賞作を作品。
ちょっと期待していたんだけれど、個人的には、もうひとつの出来と感じた。
アフリカ映画としては初めてアカデミー賞を受賞したくらいだから、魅力的な筋立てではある。しかし、筋立て以上の魅力が感じられない。
暴力でしかひとと関係できない不良少年が、かわいい赤ん坊を拾うことで、自分の名前を思い出し、次第に変わっていく、それはいい。
しかし、問題は、「映画として」それをどう描くかということではないだろうか? かわいたドキュメンタリー・タッチは悪くないにしろ、もう少し、映画的な演出が欲しかったところ。魅力的なアイディアを活かしきれていように思えた。
印象深かったのは、野原に放置された土管のなかで眠るストリート・チルドレンたち。
最新の警備システムに守られ、豪邸でねむる富裕層と、かれらのあいだの、あまりにも深刻な「格差」。それを見ていると、ツォツィのような犯罪者が生まれることも当然のように思われてくる。
原作では、アパルトヘイトの問題なども描かれているらしいのだが、映画化に際しあえてその点を省いたことは、より普遍的に訴えかけようとする意図だろうか? もっと踏み込んだ描写が必要だったのでは、と感じた。
アフリカン・ヒップホップのBGMはかっこいいし、役者の演技も素晴らしかっただけに、シナリオと演出の問題がざんねんだった。