こないだアイマスと一緒にAMAZONでまとめ買いした『秘曲笑傲江湖』を読んでいます。相変わらず翻訳小説とは信じられないほど読みやすくて、まるでライトノベルのよう。
今読んでるのは2巻なんですが、主人公令狐仲と妹弟子の岳霊珊のベタベタなラブコメ展開にニヤニヤが止まりません。ライバル出現で心変わりしそうなヒロインの様子にのたうちまわって病気になるほど心乱される主人公の描写とか、もう完全にラブコメですよ。これ武侠小説じゃなかったのか(笑)。
ていうか、武侠小説とはラブコメなのだ(笑)。少なくともラブコメを含むのだ。だから、「ラノベオタは金庸を読め!」といつもいっているんだけれど、なかなか読んでくれないんだよね。
タイトルが漢字ばかりだからいかにもむずかしそうに見えるけれど、全然むずかしくありません。痛快娯楽時代劇です。この系統では世界一おもしろいと思います。だから読みましょう!
恐ろしいのは普通にキャラ萌えラブコメとして楽しめてしまうこと。中国では同人誌を作っているひとなんかもいるらしい。わかるわかる。カップリングしたくなる。
翻訳された武侠小説は一通り読んでみたんですが、やはり金庸は別格ですね。全然レベルが違う。何がすごいって、中華主義否定しまくり、中国人のアイデンティティ壊しまくり。
金庸は全部で十二篇の長篇を書いているのですが、順番に読んでいくと、だんだん中華アイデンティティを壊す方向に思想が進んでいっていることがわかります。
血統とか、愛国心とか、男らしさとか、かの国で大切とされているものを片っ端から壊しまくる! しまいには善悪も定かではなくなって、もうわけのわからないことになっている。
ツンデレ? いるいる。 ヤンデレ? いますいます。そりゃもう、腐るほどいる。しかも、恐ろしくディープ。男も女も、異常なまでに情の濃い奴ばかり。だから読みましょうよ。
ただ、金庸は中国では「古い権威」「昔の人気作家」扱いされていたりするようなので、最近の作家の作品も読んでみたいところ。翻訳される希望が薄いのは承知していますが、何とかならないかな。
秘曲 笑傲江湖〈1〉殺戮の序曲 金庸武侠小説集 (徳間文庫)
- 作者: 金庸,岡崎由美,小島瑞紀
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 文庫
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