トップダウンか? ボトムアップか?

 人間の考え方って二種類あるなということだ。一つはボトムアップ、一つはトップダウン

 ある出来事Aには、一番本質的な問題aがあって、aを解決することがAを解決することに繋がるという状況を仮定すると、この出来事に対してどういうアプローチをするのかで二分される。Aにはbもcもdもeもある。

ボトムアップ

 a,b,c,d,eを十分に検討していって、Aの全体像をはっきりとさせる。十分に分解されているから、aではない要素を解決して間接的にaを解決することで、Aを解決させるなんて手段も思いつく。すごい精度の高い作業だなーと思う。

トップダウン

 Aという出来事を大枠で掴んだら、片っ端からa,b,c,d,eを適当に眺める。で、aが本質だと気づいたら後はどうでもいいやと切り捨てる。そしてaを追求して解決する手段の為に他の要素を検討したりする。速いんだよね、これ。

ここで、sくんは、僕を、どっちと思っているのだろう?。

ちなみに、僕は、自分を完璧にトップダウン型だと思っている。だから、学者の道はあきらめて、実践の道を選んだといっても過言ではないくらいだから。

僕がシゴトで一番得意なことは、大トラブルが起きた時の陣頭指揮や、追い詰められた時の交渉など、

可能性を吟味する時間がない極度に切迫した状況

だ(大好き)。この時に、自分がワクワク興奮するのが経験上わかっている。僕はいま仕えている役員に一番最初に評価されたのは、ある大トラブルが発生した時に、夜の会社に一人残っていた時の対応・・・とりわけ初動動作だった。彼には、素晴らしかった!と激賞された。自慢じゃないが(笑)、僕は、混乱しているときほど、その混乱が大きいほど仕事を進めるのが得意だ。

理由は簡単。

混乱している時や切迫している時は、本質以外は無視されるからだ。

これが僕には心地よい。

逆にゆっくり戦略を考えるのは、実は苦手だ。大局的に50年単位とかで考えるのは得意なのだが、数年のショートタームの戦略が苦手。それは、細かく分解したり、余裕を持って事実を解析していく行為が、得てではないのだと思う。

 ああ、ぼくは完全にボトムアップだな。

 ペトロニウスさんとは逆に、緊急事態に対する瞬間的な対応能力が弱い。ていうかむしろない。すぐにパニックに陥って思考停止になる。

 人工知能にかかわるSFや科学解説書などを読んでいると、「フレーム問題」という言葉が見かけることがある。

 ウィキペディアによると、こんな意味である。

現実世界で人工知能が、たとえば「マクドナルドでハンバーガーを買え」のような問題を解くことを要求されたとする。現実世界では無数の出来事が起きる可能性があるが、そのほとんどは当面の問題と関係ない。人工知能は起こりうる出来事の中から、「マクドナルドのハンバーガーを買う」に関連することだけを振るい分けて抽出し、それ以外の事柄に関して当面無視して思考しなければならない。全てを考慮すると無限の時間がかかってしまうからである。つまり、枠(フレーム)を作って、その枠の中だけで思考する。

だが、一つの可能性が当面の問題と関係するかどうかをどれだけ高速のコンピュータで評価しても、振るい分けをしなければならない可能性が無数にあるため、抽出する段階で無限の時間がかかってしまう。

これがフレーム問題である。

 ぼくの頭も、この役立たずの人工知能に近いものがあると思う。

 つまり、ある出来事に直面し、瞬間的な決断を求められたとき、どの問題が最も重要であるか判断できず、端から考えてはじめてしまうのである。そして、そのあいだに状況は変化し、ますます決断できなくなる。

 ペトロニウスさんの言葉を借りれば、一瞬で「本質」を見抜くことが出来ない。

 だから、チャットならいくらでも話が出来るけれど、現実の人間を相手にすると反応が淀んだりする。生身の人間との対話は、情報量が多すぎて処理に時間がかかるのである。

 ただ言葉だけを取り扱っているなら問題ないんだけれど、表情とか服装とか語調といった情報が加わると、もう駄目。処理がパンクしてしまう。

 そのかわり、それこそこうして文章を書きつづっていくような、時間をかけて着実に進めていく作業はわりと得意である。それしか出来ない、ともいう。

 この「Something Orange」にしても、大昔から読んでいるひとは、文体や内容が少しずつ変わって行っていることがわかると思う。それはつまり、数年がかりの研究が徐々に反映されていっているということだ。

 そういう性格なのである。

力ってのは、フォーカスなんだと思う。分散してやるほど、人生暇じゃない。

だから、勝てるところでしか勝負しない。

そのかわり、勝てるところではナンバーワンを目指す。少なくとも他の追随を許さないレベルで。

 それで、行こう。