『図書館内乱』

図書館内乱

図書館内乱

 今度は内乱だ! というわけで、『図書館戦争』シリーズ第2弾。

 このシリーズはこのあと「危機」「革命」と続き、既に完結している。また、ふたつの雑誌で同時に漫画化されると共に、アニメ化も決定している。

 これから先、作家有川浩の代表作として語り継がれることになるだろう。いくらでも続けられそうな話だけれど、4冊で完結させたことは偉いよね。

 未読の方のために説明しておくと、この物語の舞台は、検閲制度を合法化するメディア良化法が閣議決定された近未来日本

 メディア良化委員会に犯罪を助長すると判断された本はかたっぱしから発禁処分、闇から闇へと消えて行った。

 しかし! その暗黒の時代にただひとつ、委員会に公然と反旗をひるがえし出版と言論の自由を守ろうとする組織があった。

 図書館である! 

「メディア良化法」と対立する「図書館の自由法」を盾に、本を守ろうとする図書館と委員会との対立は、遂に武力闘争にまで発展する。こうして日本はいつ果てるとも知れない図書館戦争に突入したのだった……。

 ま、ひと言でいって阿呆としかいいようがない設定ですが、有川浩は細部を丹念に描きこむことによって作品世界を支えている。

 所々、支えそこねてぼろが出ているところがなくもないけれど、全体としてはよく出来ていると思う。

 この巻では、前巻で図書館の自由を守る図書隊(!)に入隊した「熱血バカ」笠原幾の前に組織の暗部が立ちはだかる。図書館内部の権力闘争に巻き込まれた彼女は、さまざまな事件の果て、査問会に召還されることになるのである。

 笠原の同僚、「エリート」手塚や、「情報屋」柴崎、上司の「鬼教官」堂上、「喧嘩屋」玄田、「笑う正論」小牧も引き続き登場。全体的に見れば前巻以上におもしろい作品に仕上がっていると思う。

 文章や構成の技術そのものはそれほど巧いとも思わないんだけれど、何だろ、こう、何ともいえない迫力があるんだよね。

 とにかくこのひとの小説は文章の電圧が高い。全編にわたりひたすらハイテンション、もう少し緩急をつけたほうが良いと思うくらいだが、そのエネルギーは半端ではない。

 登場人物は非常に激しい内面をもった人物ばかりで、とくにヒロインは一歩間違えればヒステリックに見えかねないくらい。そのわりに感情的な印象を与えないのは、強靭な合理的思考がセットになっているから。

 いや、このひとのカップリングは好きですね。いつも同じような組み合わせなんだけれど、作者の愛があふれまくって決壊寸前。これは良いニヤニヤ小説ですね!

 ただ、もうひとつもの足りない側面があることもたしかで、もっと暗黒面を突き詰めてほしい気もする。

 どこまでも素直で純粋で正義感が強い笠原は子犬のようでかわいいんだけれど、やっぱりこの手のキャラには立ち上がれないくらいずたぼろになってほしい。

 それでもなお、その地獄から立ち上がってきたとき、初めてヒーローの資格を得る。ぼくはそう思っている。

図書館戦争

図書館戦争