ニコニコ動画が公開されてまだ1年にもならないが、その会員数は既に300万人を超えたという。
そのいきおいはとどまるところを知らず、おそらくまだまだ成長して行くものと思われる。著作権問題など懸案事項は少なくないものの、まず大成功といっていいだろう。
しかし、ひとの価値観はそれぞれ、そんなニコニコに嫌悪感を示すひともいる。そういうひとがしばしばその理由に挙げるのが、コメントの質の低さだ。
たしかに動画にコメントを付けられる機能はおもしろいと思うよ。でも、そのコメントってほんとに低レベルなものがほとんどじゃね?
こういうひとに対しては、ぼくは声を大にしていいたい。何だと! その通りだぞ、と。じっさい、ニコニコ動画のコメントの品質はそれほど高くない。むしろはっきりと低い。
いろいろな技術を用いてコメントを美術的に装飾する「職人」や、詳細に作品を解説してくれる「通」がいることはたしかだが、そんなひとはあくまで少数派。大半のコメントは他愛もない内容だ。
そういうくだらないコメントばかりで満たされた動画の何がおもしろいんだ、と思われる方もいるだろう。でも、ぼくにいわせればそれこそがニコニコの魅力なんだよね。
このことについては、まきがいさん(id:sikii_j)の次のような意見がわかりやすい。
ニコニコ動画の何が新しくて素晴らしいかって、「動画を共有」できることなんかじゃない、「楽しさを共有」できることじゃないですか。動画共有するだけなら既にyoutubeなどの先行するサービスがあったんだから。
そう、ニコニコ動画は「楽しさ」を共有するためのシステムである。自分の部屋にいながらにして、全国の人間と不満や感動を共有できる。そこにこそ、ニコニコの本当のおもしろさがある。
いままでも、インターネットはそういう「共有」のために役立ってきた。掲示板、ウェブログ、2ちゃんの感想スレッド。しかし、それらに比べてニコニコは圧倒的に「速い」。動画が流れるのと同じ速度で感想を共有できる。
たしかにそのほとんどは他愛ない内容だ。しかし、あなたは、自分の部屋に友達を呼んで映画を鑑賞するとき、そのひとに批評家のような意見をもとめるだろうか? そんなひとはいないだろう。同じようにニコニコにもハイレベルな意見は必要ない。
ニコニコに寄せられる意見は、他愛ないが、率直だ。くだらないが、リアルだ。素晴らしい映像に対しては惜しみない拍手が送られ、ばかばかしい展開に対してはブーイングが飛ぶ。
それはあたかも自分の部屋に何千人ものひとを呼んで、いっしょに映画を見るような体験だ。そこには、一度味わうと病みつきになるような魅力がある。
もちろん、だれでも楽しめるわけではない。しかし、くわず嫌いのひとは、悪いことはいわない、ためしてみるくらいはしてほしい。意外と気にいったりするかもよ。
ぼくのように。