カリスマAV男優の虚実。

「エリカはどうなんだろう? どこまで俺を愛してくれる? 俺のこんなイヤなところもみんな受け入れてくれるのか?」

 アダルトビデオ男優の加藤鷹を主役にしたもんでんあきこの実録漫画。全3巻。

 ぼくはほら、清く正しく貞節を重んじるオタクですから、普段、AVなんてものは見ません。AV女優の名前も知らないし。

 「藩金蓮の「アダルトビデオ調教日記」」が非常におもしろいので、多少興味を抱いたりしますが、どうも、やっぱり安っぽい気がして好きじゃないんですよね。

 藩金蓮さん、おすすめAV一覧とか作ってくれないかなあ。

 ま、女優の名前も知らないのに男優の名前を知っているはずがないわけで、この加藤鷹というひとのこともよく知りません。

 しかし、AV業界ではカリスマ的な存在で、有名なひとであるらしい。で、この漫画版ではその加藤さんの人生をある脇役の視点から描いています。

 といっても、そうとう脚色、あるいは美化されていることは一読すればわかる。あまりにも「物語」しているんだよね。だから、漫画としてはおもしろいけれど、ノンフィクション的な信頼性はない。ま、なくてもいいけれど。

 もんでん作品の魅力はその健全さにあります。いくら悲惨なことをかいても、悲惨なままでは終わらせない。紙面から生きることに対する前向きな活力が匂うよう。

 その感性の一端は、きちんと筋肉や骨格を意識した人体からも伺える。ああ、このひとは生きることが好きなんだな、生きて呼吸している生身の人間が好きなんだな、と思う。

 オナニーもセックスも含めた、ときには汚らしくもあり、いやらしくもある人間をそのままに肯定している。快楽主義的で幸福志向的。たまにはこういう漫画もいいよね。

 ぼくの病んだ精神とは対極にある世界だけど。