クリエイタの「金儲け」を支持する。

なんか、最近らき☆すたに萎えてきています。

というのも、アニメ効果で一気に周りに広まったから……

(中略)

この頃から、だんだん自分が冷めていくのを感じました。
なんというか、あまりにも人気すぎるというか……

(中略)

後、グッズの大量販売もどうかと思う……いや、いいんですけどね。いいんですけどね。
結局、金なんだな……と思うと冷める心があるわけでして。

 なるほど、ぼくと正反対だなあ。

 昨日も書いたように、ぼくは自分が好きな作品はできるだけ広く宣伝したいと思っている。

 昔はそう思っても知人に勧めるくらいしか出来なかったのだけれど、最近はネットのおかげで一度にたくさんのひとに薦められるようになった。非常に嬉しいし、可能ならもっともっと広い層に薦められるようになりたい。

 この推薦欲というものは、もちろんぼく個人の欲望だけれど、同時に「少しでも作り手のためになれば」という心理も、やはりある。

 基本的に、アーティストとかクリエイタという仕事は、明日をも知れない不安定な職業である。一時は一世を風靡しながら、さいごには消えていった作家の何と多いことだろう。

 松井計の『ホームレス作家』や、吾妻ひでおの『失踪日記』を読めば、ひとたびは人気を集めた作家たちがホームレスにまで堕ちていくさまを目撃することが出来る。

ホームレス作家 (幻冬舎アウトロー文庫)

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失踪日記

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 どんな人気作家も、一度作品が売れなくなれば、そこまで落魄するかもしれないのだ。多くのクリエイタはそんなリスクを背負い、それでも少しでも良い作品を作ろうと頑張っている。

 そういったひとたちに対して、「ファン」を名乗る人間が出来ることは何だろう。やはりそれは作品を支持し、広めることなのではないだろうか。

 「結局、金なんだな」と思うと冷めるということは、わからなくはない。しかし、良い作品を作ったものがそのことにふさわしい報酬を受けられる状況は、その反対よりずっと良いと思う。

 そう、どんな作品作りも、商業行為であるかぎり、「結局、金」であり、「しょせん金儲け」である。しかし、金儲けとはそんなに悪いことなのだろうか。

 もちろん、何か不正を働き、金銭を騙し取ることは良くない。だが、それは不正が悪いのであって、金儲けそのものが悪いわけではない。あるビジネススタイルに問題があるということはいえるにせよ、創作がビジネスであることそのものは否定出来ないのである。

 そこを否定することは、ただでさえ不安定で過酷な人生を歩んでいるクリエイタに、ただ働きしろというにひとしい。

 もちろん、ある個人が一切「金儲け」のことを考えずひたすら作品作りに没頭することは自由だし、ときにはそういう態度が美談として通じることもある。

 しかし、それが会社や団体ではそうはいかない。もし、あなたの勤めている会社の社長が、「これからは商売のことなど何も考えず、ひたすら消費者に奉仕しよう」といいだしたら、何て無責任な奴だと思わないだろうか? コンテンツビジネスだって話は同じだ。

 不正な「金儲け」が悪いのであって、「金儲け」それ自体が悪いわけではない。良い作品を作ったものがきちんと儲けられ、手抜きをしたものはそれだけの評価しか受けないようになればいいと、ぼくは思う。

 もちろん、すべての作家が過度の大衆化を望んでいるわけではない。竹宮恵子は、みずから自分の読者数を10万人と定め、その10万人に対して作品を描いてきたという。

 そういう作家にとっては、ファンの「もっとメジャーにしてやろう」なんて活動は余計なお世話かもしれない。しかし、それも結局、ある程度人気があるからこと取れる態度である。

 「読者が多すぎて、うんざり」と思っているクリエイタがいないとはいわないが、その反対のひとに比べればはるかに少ないはずだ。

 才能があるのに、良い作品を作っているのに、全然報われていないクリエイタは大勢いる(はず)。現状ではそれほどの力はないが、ぼくの記事が、そういう作り手たちが正当な評価と報酬を得られる一助になれば、これほど嬉しいことはない。

 何より、良い作品を作ったものが金銭的に報われないようなら、やはり作家のモチベーションも下がるだろう。「創作は金のためにやるものじゃない」というひともいるかもしれないが、現実に仕事がなければ食っていけないのである。

 だから、ぼくは自分の好きな作品を応援する。ぼくにとって「ファンである」ということはそういうことである。

 『らき☆すた』のブームは古くからのファンには気に食わないところもあるかもしれない。しかし、それによって美水かがみは人気を得たし、収入も増えただろうし、長く漫画家を続けられる可能性も増した。それはやはり良いことなのではないか。

 プロフェッショナルとは、趣味ではなく、職業として創作を行っている人間のことである。ぼくはひとりのファンとして、そんなプロフェッショナルたちを支えたい。

 その結果として、より良い作品が楽しめるようになれば、最高ではないか。少なくとも、自分が応援する作家がホームレスになったところなど、だれも見たくはないだろう。

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