愛と悲しみの墓標。

さて、3人まで産むと4人も5人も同じであるから、出来れば出来るだけ沢山欲しいと思う。
だいたい2人くらいまで産んでいる人は、何人でも経済的に許せば欲しい・・・という人が多い。

オンナとはそういう生き物なのかも知れない(例外もある)。
いや、違う。やはり育てる上で夫に恵まれ環境に普通に恵まれていることが条件となる。妻任せで何もしないような夫の場合は・・・何人でも欲しいとはいかないかも知れない。

 そんなものですか。

 ムガル帝国*1の第5代皇帝シャー・ジャハーンの妃ムムターズ・マハルは、14人もの子供を産み、36歳のときに産褥死しています。シャー・ジャハーンは彼女を熱愛し、皇帝でありながらほかの女性には興味を示さなかったとか。

 ぼくはこの話を聞いて、「14人も産むなんて大変だなあ。そんなに彼女が好きならちゃんと避妊しろよ、シャー・ジャハーン」と思っていたんだけれど、彼女のほうも産みたかった可能性もなくはないですよね。

 何しろ広大なインドを支配する大帝国の皇妃、経済的に困窮したり、育児に追われたりする心配はなかったでしょう*2。それに皇帝とか王様の場合、血を絶やさないようにする義務があるわけで、子供は多ければ多いほうがいいんですよね。

 そう考えてみると、皇帝ともあろうひとにそこまで愛されたムムターズ・マハルも幸福だったのかなあ、とも思います。いや、それにしても14人は産みすぎだと思いますけど。

 ちなみに、そうやって彼女が産んだ息子のひとりは、長じて父の地位を奪い、ある城に軟禁してしまいます。愛する妻を亡くし、いまや皇帝の地位さえも奪われたシャー・ジャハーンは、その城から彼女の墓を眺め、涙に暮れていたという話です。

 この世で最も美しく、人類の建築史に燦然とかがやく愛と悲しみの墓標、それはムムターズ・マハルそのひとの名を縮めてこう呼ばれます。

 タージ・マハル、と。

*1:ちなみに、このムガルとはモンゴルのことである。

*2:もっとも、シャー・ジャハーンの人生にはいろいろと波乱万丈があり、決して安泰ではなかったらしいが。