先日取り上げたid:Shsgsさんの記事について、まきがいさん(id:sikii_j)がいろいろ書いています。
確かにかなりきついことを書いてると思うし、Shsgsさんも自覚しているようだけど、一歩間違えたらファンに対する人格批判と取れるような部分もある。ファンなら思わずムカっとしてもおかしくない内容です。まあ正直言うと僕もこの『らき☆すた』批判には全く共感できません。
しかし、共感できないけど好感は持てるんですよね。正々堂々と受けて立つ姿勢で、ちゃんと聞く耳も持ってるじゃないですか。「問題提起がしたい」「意見、批判は歓迎」と明言してるんだから、異論があるなら普通に反論すればいいんじゃないかなあ。これをよくある作品批判にかこつけたあからさまな優越感ゲームと一緒にしちゃうのはかわいそうでしょ。
正々堂々と受けて立つと言ってる相手に、嘲笑や揶揄を返すのはなんだかかっこわるいと思うなっ!
たしかに、このひとは自分の日記のプロフィール欄にこのように書いているんですね。
内容については出来うる限り分かりやすく書いているつもりではありますが、もし不明瞭な点がございましたら遠慮なくご質問ください。ご意見・ご批判も歓迎いたします。
意見の内容には多々異論はあるにせよ、その姿勢そのものには好感がもてるし、ぼくも反論するに足りる内容であると判断したからこそ、いちいち取り上げて論難しているわけです。そうでなければ、はてブで突っ込みをいれるくらいにとどめておいたでしょう。
そもそも、皆さんご存知の通り、ネットにおける「議論」とは、ただのののしり合いや決め付けあいに陥りがちです。たがいに顔も名前も知らない者同士が文字だけで話しあっているのだから、当然といえば当然でしょう。
しかし、わざわざ時間と労力を裂いてそんなことをやっていても仕方ないわけで、できれば多少なりとも建設的な議論をしたいものです。そこで、今回はぼくがふだん他人を批判するときに留意しているポイントをいくつかあげておこうと思います。
1.発言内容を正確に引用する。
2.書き手の人格批判はしない。
3.事実と憶測を区別する。
4.「快/不快」で判断しない。
5.複数の意見を混同しない。
6.批判先がネットの文章の場合は、リンクを張る。
7.相手に過度の要求をしない。
こんなところかな。
「1.発言内容を正確に引用する」。これは、まあ、ひとを批判する際の最低条件みたいなものですね。かってに内容をねじ曲げず相手のいったことをきちんと引用しましょう、ということです。
本当は相手が書いたことをそのまま転載した上で反論するのがいちばん良いのだろうけれど、そういうわけにもいかないので、正確に引用することが必要だと思います。
良く見かけるのが、相手の発言を適当にパラフレーズしたために、もとの発言と意味が食い違ってしまっている例です。こういう場合は、たとえ批判そのものが正当だとしても、批判する対象が実在しない、ということになりがちです。
「2.相手の人格批判はしない」。書き手の発言と人格を区別しよう、ということですね。
他人の性格なんてそう簡単にわかるものではありません。あいつはこんなことをいっているからこういう考え方だろう、と思ってしまうことはある程度仕方ないにせよ、それを批判の根拠にしたら、議論も何も成り立たなくなってしまいます。
「3.事実と憶測は区別する」。これも、「2」と共通点がありますね。「〜である」とはっきり客観的に判断出来る事実と、そこから「〜だろう」と憶測できることとは明確に区別されるべきだ、ということです。
きっとこうだろう、とか、こうに違いない、ということは、外れている可能性があるわけです。あたっているかどうかわからないようなことで他人を批判するものではないでしょう。
「4.快/不快で判断しない」も、当然といえば当然のことですが、じっさい、何に対しても「キモいからやめろ」とか言い出すひとはいくらでもいるわけですよね。
自分にとって快楽であるものが良いもので、不快であるものが悪いもの、という理性的判断とは何の縁もない意見です。いうのはかってですが、いわれたほうは決して納得しないでしょう。
「5.複数の意見を混同しない」。相手の意見が気に食わないからって、まったく関係ない話を取り出して相手を貶めるようなことはするな、ということです。
たとえ、ほかのことで間違えたことをいっていても、そのときの意見が間違えている根拠にはならないわけで、こういうことは避けるべきだとぼくは思います。
「6.リンクを張る」も、ごく当然のことだと思います。もしリンクを張っていなければ、読者はそのひとの批判が正当なものか判断出来ないわけですから。
自分がいっていることに自信があるなら、堂々とリンクして、読者に双方の意見を示した上でその是非を判断してもらうべきでしょう。たいして手間がかかるわけでもないし。
そして、「7.相手に過度の要求をしない」。これは多少抽象的な言い方になったかもしれません。何が過度かということはひとによると思います。
しかし、自分が批判したらかならず24時間以内に答えろとか、自分が飽きるまで話に付き合え、という言い草は、ぼくには過剰なものに思えます。
ちょっと、こういうことを言うひとと議論する気にはなれません。はてしなく揚げ足の取り合いが続くことが目に見えていますから。
それから、いうまでもないことだけれど、他人を批判するからには、自分も批判を受ける覚悟が必要だとは思いますね。自分はいいたいことをいうけれど、他人には何もいわれたくないというようでは困ります。
ま、ぼく自身、ここに書いてあることを100パーセント守っているとまではいいませんし、他人に強要できることでもありません。
ただ、もしここに書いたようなことを完全に放棄するなら、それは批判というより難癖に近くなってしまうんじゃないかな、とは思いますね。
ネットの「議論」を見ていると、「ひとは、他人を攻撃するとき、最も防御が弱くなるものだ」としみじみ思います。相手を愚かだと見下す、その傲慢に魔は忍び寄るのでしょう。
いや、自戒の言葉ですよ。もちろん。一応、そういうことにしておこう。批判されたくないから。