王道の物語――『ゼロの使い魔(2)』

「『ライトニング・ブラスト!』」
 呪文の正体に気づいたデルフリンガーが叫ぶ。したたかに体に通電して、才人は会談に崩れ落ちる。
「ぐぁあああああああ!」
 才人はうめいた。左腕が焼けつくように痛い。見ると、電撃の痕が服を焦がしている。左腕が、焼きごてを当てたみたいに大火傷していた。

 ……いや、それ、焼けつくように痛んでいるんじゃなくて、ほんとに焼けついているだけじゃね?

 というわけで、人気シリーズ『ゼロの使い魔』第2巻。第1巻を読んだときはそれほどの出来とも思わなかったんだけれど、話が動き出してみると意外とおもしろいですね。

 主人公の才人はきちんと主人公しているし、ヒロインのルイズはきちんとヒロインしているし、冒険物語の王道を外さない展開が心地よい。ただのツンデレだけの小説じゃなかったのか。

 もちろん、あいかわらず世界設定は恐ろしく薄っぺらなんだけれど、初心者向けのファンタジィとしてはこれはこれくらい割り切っちゃうこともありなんじゃないかな。

 やっぱりファンタジィには分厚い設定がないと、と思われる方はジョージ・R・R・マーティンの『氷と炎の歌』を読みましょう。金槌で叩いてもひびも入らないくらい分厚い設定がそろっています。

 ま、そういうわけで、ちょっと見直しました。第3巻も読んでみようっと。

 これは注意するに値することだけれど、ライトノベルライトノベルオリジナルの要素だけで出来ているわけじゃないんだよね。

 たとえば好きな女の子のために命をかける、なんてヒロイズムは、ラノベとかオタクとかツンデレといった概念よりはるかに古いものだ。ディケンズでも読んでみればわかる。

 新奇なところだけに注目していると、そういうところが見えなくなる。そういうものが好きだ。