あなたが金庸を読むべき10の理由(その8)


 さて、ここまで金庸の魅了を縷々と述べ立ててきたわけですが、どうも散漫な文章になってしまった気がします。

 そもそも全15作、単行本にして数十巻にもなる金庸作品の全体像を短い文章で表そうとするところに無理があるわけですが、この壮大なる冒険浪漫の一端なりとも伝わっていれば幸いです。

 もちろん、「そうはいっても中国の昔の小説なんて読む気にならないよ」という方もおられることでしょう。しかし、金庸作品を「異国の古典」というイメージで捉えてしまうと、その魅力の半分も理解できないことになると思います。

 何といっても武侠小説パルプフィクション! 大軍同士の激突あり、命懸けの決闘あり、読者の紅涙をしぼる悲恋あり、とおよそ人間がおもしろいと思う要素はことごとくここに詰め込まれているといっても過言ではありません。

 結局、日本人だろうが中国人だろうが、庶民がおもしろいものはそれほど変わりはないということが、金庸の小説を読んでいるとつくづくよくわかります。

 じっさい、中国をはじめとするアジア各国では、金庸の人物のなかでだれが最強だの、だれが最も美しいの、最高のカップルはだれとだれだの、といった議論がかまびすしく続いているそうです。

 これぞ庶民の楽しみ! そして、こういう楽しみ方が出来るのも、金庸作品が雄大な歴史ロマンであると同時に、現代のライトノベルをはるかに凌ぐキャラクタ小説でもあるからです。

連城訣〈上〉菊花散る窓 (徳間文庫)

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連城訣〈下〉雪華舞う谷 (徳間文庫)

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