って、こういうタイトルで文章を書いたりすると、最近のライトノベルを読んでいる人々に怒られそうなんだけど、それでも一言言いたいので(つーか、二言にも三言にもなりそう)、言わせてもらう。
まあ単刀直入に言うと「絵師、ヘタじゃない?」ってこと。文章とかそういうのは流行り廃りがあるだろうから、老年になった自分がいちいち難癖つけるのは間違ってると思うから、ライトノベルの内容については触れない。そもそも、ライトノベルってのが最近は多様化してきて、その定義を語るだけでもかなりの分量になってしまう。そういう面倒なことは避けたいので絵師だけの話をする。
繰り返すけど、ライトノベルの表紙を飾ってる絵師の絵のレベルが総じて低くなっているように感じているのは自分だけなんでしょうか。まず、基本的なデッサンがなってないというか、これを本当に流通させていいのか、ってレベルのイラストがある。そして、何と行っても没個性化がひどい。昔はもっと個性があって、絵師の顔ぶれも豪華で、表紙買いをする価値のあるライトノベルがたくさんあった。最近のはなんか、どこぞの三流エロゲー会社の原画家さんがかいたようなありきたりな絵ばっかりでまったくもって魅力を感じない。
くきゅ。
ひとついえることは「昔」とは具体的にいつのことを指すのか、はっきりさせる必要があるということですね。
ライトノベルは既に数十年の歴史を有している。ひと口に「昔」といっても、10年前のことなのか、20年前のことなのか、そこを明確にしてもらわないと議論にならない。
同じように「昔は良かったねえ」といっていても、その「昔」というのが全然違う時代を指しているかもしれないわけです。
しかしまあとにかく、論より証拠、ということで、以下に主要レーベル最新刊の表紙画像を一通り並べてみました。
現時点でまだ発売されていない本も含まれていますが、中見を論じるわけでもないので問題ないでしょう。また、基本的に女性向けと思われるコバルト文庫などは除きました。
ちなみに、なぜかファミ通文庫の『シャイニング・ウィンドアナザーリンク −鬼封じの剣士−』だけ画像が見つからなかった。いぢめ?*1
●電撃文庫
●HJ文庫
●GA文庫
さて、どうでしょ?
ぼくに絵のよしあしを判定する能力はないけれど、相当に没個性化していることは感じますね。
何よりはっきりわかるのは女子率の高さ。パッと見、表紙が男性だけなのはファミ通文庫の『テイルズオブディスティニー −蒼黒の想い−』くらいじゃないか? ほかはすべて女の子キャラが描かれている。
もちろん、いちいち中見を確認したわけではないので、「美少女に見えるけれど実は男」みたいなキャラがいるかもしれない。でも、まあ、一見したところでは圧倒的に女子率が高いですね。
中見を読まずにあれこれいうのも何だけれど、この一覧を見ただけでも、ライトノベル全体が狭い方向に進んでいるのではないか、という懸念は裏付けられる気がする。
SFやミステリといったジャンル小説に比べて「何でもあり」だといわれるライトノベルですが、「かわいい女の子を出す」ことはもはや必須条件になっているのかも。
もちろん、一概に悪いことだとは思わないし、「ライトノベルは駄目になった」とも思わない。むしろ、個人的な感覚でいうなら、個々の作品のレベルはむしろ向上しているような気がする。昔だってひどい作品はいっぱいあったよ?
ただ、ある特定の作風の二番煎じ、三番煎じばかりが増えては、多少質が上がっても、業界の未来は明るくない。洗練された凡作より奔放な失敗作が魅力的に見えることもあるわけで。
そういうわけで、これからライトノベルの新人賞を狙うひとは、女の子がひとりも出てこないような作品を書いてみるのもひとつの手かも。とにかくほかの作品と違って見える可能性は高いとは思います。
以下、拡大画像。
●電撃文庫
●HJ文庫
●GA文庫
*1:発売延期したらしいです。