みんな大好き熱血先生。

 体罰を加えたことをわびる教諭に、教諭の熱意を正面から受け止めた児童と保護者。京都府京丹後市の市立小学校で、「クラスメートへのからかいをやめなかった」とクラス全員に体罰をした男性教諭(28)が辞表を提出した。しかし、保護者のほぼ全員が辞職の撤回を求める署名を提出。思いとどまった教諭は謹慎処分が解けた8日、児童らと互いに謝罪し、きずなを深めたという。市教委は「近年、学校に理不尽な要求をする保護者が増える中、教諭の熱意が通じたのでは」としている。

 市教委などによると、教諭のクラスでは1人の男児の外見を一部児童がからかい、他の児童も黙認する状態だった。教諭は「(次にからかったら)みんなをたたいて教師を辞める」と注意したが、今月4日、再びからかいがあったため、「ここで放置すると、いじめに発展しかねない」と判断、からかわれた男児を除く全員のほおを平手打ちした。
 

 ネット上でも賛否が分かれている記事です。

 えっと、これ、「一部児童」が「1人の男児」をからかい、先生が「からかわれた男児を除く全員のほおを平手打ちした」ということは、何もしていない生徒も皆平手打ちされたってことですよね。それ、ちょっとひどくないですか?

 いや、「止めないで「黙認」することも同罪だ」って考え方もわからなくはないですよ。

 でも、その先生だって結局、叩いて止めるしかなかったわけでしょ? それなのに、生徒が止めなかったから叩くってひどいと思いません? 自分にできないことをこどもに求めていると思うんですが。「一部児童」だけ叩いたのかな?

 さらにいえば、「ここで放置すると、いじめに発展しかねない」というのはこの先生の判断であって、じっさいに何か事件が起こったわけじゃないわけですよね。

 「いじめを止めるためにやむを得ず体罰を用いた」わけですらない。じっさいには、いじめの種なんて実在しなかったかもしれない。ただからかっていただけかもしれない。

 たしかに他人の容姿をからかうことは良いことではないでしょう。しかし、この「いじめ許さん」ってタイトルはあきらかにミスリードですね。「いじめ」が起こっていたなんて事実はないんだから*1

 全校の児童191人の保護者ほぼ全員分の署名が学校に提出されたという話も、はたして美談で済むことなのかどうか。

 生徒の親御さんのなかには、こういう「体罰」に賛成するひとも反対するひともいると思う。その教師に好感を抱くひとも反感を感じるひともいると思う。

 そういった雑多な意見をもっているはずの集団の行動が、きっちり一致しちゃうということは、何かしら同調圧力があったんじゃないかな。

 もちろん、これだけの記事では実状は判断できません。じっさいに皆が自発的に署名したのかもしれない。

 ただ、実情がわからないからこそ、「熱血先生の感動秘話」みたいなかたちでまとめてしまうことには抵抗がある。

 ま、こういう話が好きなひとがいることはよくわかるんですけどね。自分の頬が痛むわけじゃなし。

*1:「いじめ」をどう定義するかという問題はあるだろうし、個人的には「いじめ」なんていいかげんな概念は廃絶したらよいのではないかとすら思う。ただし、この記事には、この教師が「ここで放置すると、いじめに発展しかねない」と判断したと書いてあるのだから、少なくともこの教師の主観ではいじめがなかったことは間違いない。