あなたが金庸を読むべき10の理由(その1)


 香港の武侠作家金庸の代表作のひとつ『秘曲笑傲江湖』がめでたく文庫化されたので、この機会に薦めておきましょう。とにかくめちゃくちゃおもしろいから、買おう。そして読もう。

 中国の歴史について何も知らなくても大丈夫、読めばわかるし、わからなくてもおもしろい。

 過去にも何度か書いていますが、あらためて書いておきましょう。ぼくはこのひとこそ20世紀最大の物語作家だと思います。

 もちろん、インドとか中東あたりにまだ見ぬ大天才がひそんでいる可能性はあるけれど、とりあえず知っているかぎりではベスト。

 もっと高邁な文学作品を書く作家や、深遠な思想小説を書く作家はいるでしょう。しかし、こと筋立てのおもしろさという点において、金庸にまさる作家を知りません。

 西洋でかれに匹敵する活劇作家を捜すなら、アレクサンドル・デュマあたりまでさかのぼる必要があると思います。それくらい桁違いの存在。

 もちろん、日本にも優れた歴史作家や伝奇作家はいます。でも、何というか、根本的にスケールが違うんですよね。

 たとえば、プロットの精緻さという意味で、山田風太郎金庸をはるかにしのぐでしょう。どこまでも緻密に考え抜かれた忍法帖のプロットに比べ、金庸の小説は行き当たりばったりとしか思えないところがある。

 ところが、いざ読んでみると、些細な欠点を塗りつぶす雄大なスケールに圧倒されることになります。

 金庸については一日二日では語りつくせないので、あしたも(たぶんあさっても)つづきを書くことにします。乞うご期待。

秘曲 笑傲江湖〈1〉殺戮の序曲 金庸武侠小説集 (徳間文庫)

秘曲 笑傲江湖〈1〉殺戮の序曲 金庸武侠小説集 (徳間文庫)