『マリア様がみてる(7)』

マリア様がみてる 7 (マーガレットコミックス)

マリア様がみてる 7 (マーガレットコミックス)

「私はね そんなあなたの弱い部分も好きよ」
「私はあなたの強いところが大嫌いだわ」
「知ってる 自分でも好きじゃないんだから」

 漫画版『マリア様がみてる』第7巻。

 今回は原作の『いとしき歳月』から、「黄薔薇まっしぐら」、「いと忙し日々」、「片手だけつないで」の三篇を漫画化している。

 結論から書くと、非常に出来の良いコミカライズだと思う。この漫画版では、膨大な原作を短くまとめるため、必要なエピソードを取捨選択して絵にしてある。まず、その選択が巧い。

 相当に切り詰めてあるはずなのだが、この漫画版だけ読んでいるかぎり、それほど違和感は感じない。もちろん、ひとつひとつ原作と照らし合わせれば、「ここはカットしてほしくなかった」という場面は出てくるだろう。

 しかし、漫画と小説の性質の違いを考えれば、それはない物ねだりに近いと思う。長沢智は限られた条件のなかで上質の作品を生み出しているといっていい。

 この巻の主人公は、間もなく卒業していくことになる3人の薔薇さまたちである。

 いつも冷静沈着な紅薔薇さまこと水野蓉子、美貌の「セクハラオヤジ女子高生」白薔薇さまこと佐藤聖、好奇心旺盛な黄薔薇さまこと鳥居江利子、それぞれきわめて個性的な人物で、卒業してしまうことが残念なくらい。

 祥子たちがその地位を受け継いだいまでも、「薔薇さま」といえば、彼女たちのことがまず思い浮かぶ。

 しかし、そんな彼女たちですら、卒業式を経て、物語から去っていってしまう。ゆるやかに、しかしたしかに時は流れている。それもまた、『マリみて』の魅力なのだろう。