『カルタグラ』プレイ日記その4

カルタグラ ?ツキ狂イノ病 ? 廉価版

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 長いあいだ人びとを恐怖させてきた上野連続殺人事件は、秋五たちの活躍により、ついに解決した。

 すべての事件を影で操っていたのは、秋五にとって身近な存在であるあのひと。しかし、その本当の動機はいまとなっては知る術もない。秋五は、割り切れない思いを抱えながらも、眼球に傷を負い、視力を失った恋人の傍で彼女を励ましつづけるのだった。

 何もかももう終わったこと。そのはずだった。ところが、秋五の妹七七(なな)の登場により、事件の様相はさらに一転する。七七が語る意外な真実。そして、秋五は、思いもかけぬかたちで過去に直面することを余儀なくされるのだった。

 というわけで、『カルタグラ』クリア。まだわき道の話がいくつかのこっているが、あえてそこまで終わらせる必要もないだろう。上月家の姉妹、由良と和奈を巡る物語はここに完結した。さいごまでいまひとつの印象のままだった。

 一旦は解決したかに見えた事件の様相が、名探偵の登場とともに崩れ去り、あたらしいかたちに再構築されていくクライマックスには本格推理の醍醐味がある。

 ただ、それほど意外性はないし、いろいろと無理がある話なので、あまり爽快感はない。一応、すべてのなぞは解決しているものの、どうにもあと味が悪いのである。

 ここらへんの印象は、主人公がさいごのさいごまで役立たずに終わったことにも原因があるだろう。もともとあまり役に立たない男が、終盤に近づくにつれ、さらに役立たずになっていく展開はある意味圧巻。

 ここまで好感をもてない主人公もめずらしい。もう少し何とかならなかったのだろうか。

 この物語の骨子は上月由良にある。七年前に逢瀬をかさね、秋五の人生に暗い影を落とすなぞめいた美少女。彼女の呪われた宿命がこの錯綜した物語を一本の線で結んでいる。

 いや、そのはずなのだが、こうしてクリアしてみても、由良の印象はいまひとつ薄い。ほかのヒロインたち同様、彼女が秋五に執着した理由がわからないのだ。いったいこんな男のどこがいいのやら、さっぱり。

 また、秋五は秋五で、ほとんど由良のことを思い出さない。この物語は由良の存在なくしては語れないのだから、もっと秋五を通して由良が描写されていてしかるべきだろう。

 しかし、本編をさいごまで終えても、秋五が口で言うほど由良のことを思っていたようには感じられない。そもそも戦争から帰ったあと、彼女の身元をさがそうと考えた様子すらない。結局、ただの行きずりの女だったんじゃないか、と思えてしまう。

 そのおかげで、由良の狂気まで薄っぺらなものになっている気がする。秋五の人物像がもっと魅力的なら、もう少しおもしろいものに仕上がったと思うんだけどな。

 ま、文句ばかり並べ立ててしまったが、さいごまでプレイできたということは、それなりに良い面もあるのだろう。やっぱり事件が次々と起こる話は、好奇心が持続しやすい。ま、そのおかげでひどくあと味が悪いことも事実ですが。