『SWAN SONG』プレイ日記その2

SWAN SONG

SWAN SONG

 人が減ったこの街で、一人一人の役割は前よりもずっと重要だ。ボクの汚い人間性はきっとこの弱り果てた世界を汚すだろう。地震が起きたとき、沢山人が死んだのに、よりによってボクみたいなやつが生き残ってしまったのが、そもそも間違いだったんだ。

 いまボクがここで一人でも道連れにすることが出きれば、タノさんがきっと少女を助けてくれるはずだ。そうすれば、クソみたいなボクの代わりに、もっとマシな人間が一人この世界に残るんだ。エビでタイを釣るってやつかな? 素晴らしい考えだと思うよ。ボクにしては上出来のアイデアじゃないか?

 ――冬。

 冬が、しずかに街を覆っていた。

 いつも、いつまでも灰色の空からは、たえまなく真白い粉雪がふりそそいでいる。いまでは瓦礫の山になってしまった市街にその雪は積もり、すべてを白く染めていく。

 かつての威容もいまは夢、はかなく崩れ去ったビルディングも、埋葬しようとするものもなく、放置されたままの亡骸も、すべてが雪色に染めなおされる。

 あたかも、一瞬で変わり果ててしまったこの世界に、神が下したさいごの慈悲ででもあるかのように。

 そして、その雪空の下では、この極限状況においてもあらそいをやめることができない人間たちが、狂気にみちた争いをくりひろげているのだった。

 尼子司をはじめとする6人の若者は、水没した都市を脱出し、急造の湖の対岸にまでたどり着いた。

 そこでかれらを待ち受けていたものは、生きのこった者たちが細々と続けるコミュニティだった。ここにも情報はなく、また、いつまで待っても助けの手がとどく様子はなかった。

 いったいこの国はどうなってしまったのか? 何ひとつ真実はわからない。

 また、この土地には法秩序の崩壊のなか、理性も倫理もかなぐり捨て、殺人と強姦に耽る危険な男たちがいた。

 あたりまえのように諍いが生まれ、噴き出した赤黒い血が、雪の色を染め替える。

 そんななかでも、ひとは惹かれあい、恋の花が咲き、そしてその花を手折ろうと、またも狂気が忍び寄ってくる。

 いつまでこんなことが続くのか、だれも正しいこたえを知らない。ただ、しずかに、たえまなく、雪は降る。降りつづける。

 物語はここに来ていよいよ加速を始めている。たぶん、全体の半分ほどまでたどり着いたのではないだろうか。つづきの展開がたのしみだ。

 それにしても、と思う。何と酷烈な展開だろうか。遊んでいて憂鬱になるような暗い内容のゲームを、俗に「鬱ゲー」と称するが、この作品だけはそういうカテゴリに収まりきらない気がする。

 何ひとつ頼るものもなく、いつ助けが来るのかもわからない状況で、あらわになっていく人間性

 反吐が出るような残虐行為に耽る男たちもいれば、かれらの犠牲になって何の咎もないままに死んで行くものも登場する。

 しかし、それでいて、全体の雰囲気は静謐で、上品ですらある。この作品には「燃え」にしろ、「萌え」にしろ、そういう興奮をもたらすような要素がほとんど見当たらない。

 作中の登場人物たちにしてからが、物語が進むにつれ、はじめに見せていた顔以外の多彩な素顔を見せるようになる。

 ただ、それでもやはり、リアルな生身の人間というわけではなく、「キャラクター」としての輪郭もそなえている。この絶妙なバランスが、何だかぼくには心地よい。

 やはり、あまりにもリアルに肉付けされてしまうと、その人物を「キャラクター」として好きになることはむずかしい気がする。どこかに誇張が必要なのだ。

 真摯に人間性の真実をあばき立てることも悪くないが、ぼくは、やはり、何かしら誇張された「キャラクター」が好きだ。

 それって、ぼくがオタクだからなのかなあ。よくわからない。