- 作者: コニー・ウィリス,大森望
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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石野さんがくだらないくだらないとぼやいていた短編「女王様でも」が、本当に他愛ない話だったことに驚く。ウィリス、信じていたのに。
いや、あいかわらず天才的な小説技巧は素晴らしいのだけれど、それにしてもただの小噺だもんなあ。
こんなセンス・オブ・ワンダーのかけらも見当たらない作品が、ヒューゴー、ネビュラを初めとして五冠にかがやいているんだからアメリカSF界は謎。
この年にはこれより優れた短篇はなかったのか、本当に? アメリカ人の感覚はよくわからないなあ。
解説の大森望が書いている通り、たしかにウィリスのストーリーテリングは凄まじいものがある。たぶん、現在の欧米SF界では(そして日本SF界をいれても)ベストだろう。
しかし、その感性や価値観そのものはわりと普通のアメリカ人女性に近いと思う。感受性からして凡人とは遠く隔たったティプトリー辺りとはわけが違う。
保守的なフェミニズムを皮肉たっぷりに茶化している辺りが受けたのかもしれないが、この茶化し方もあまり品が良くないような。ほんとにただ皮肉っているだけだもんな。
ただ、何しろテーマが月経(というか生理痛)ということで、男性には理解しきれない何かがあるという可能性はあるかも。
女性が読むと共感のあまり感動したりする、ことはないと思うけど、まあぼくには何ともいえない。
ぜひ女性読者の意見を伺いたいところだが、この日記自体、男しか読んでいないような気が。